名和神社

名和神社：後醍醐天皇を支えた名和氏一族の霊廟

鳥取県西伯郡大山町（旧名和町）に鎮座する名和神社は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した名和長年を主祭神とする神社です。旧社格は別格官幣社であり、後醍醐天皇の中興に貢献した神社として、建武中興十五社の一つにも数えられています。

祭神と名和氏の歴史

主祭神である名和長年は、隠岐国から脱出した後醍醐天皇を迎え、鎌倉幕府打倒に尽力した武将です。南北朝時代には南朝方に属し、数々の戦で活躍しました。名和神社には、名和長年をはじめ、その一族郎党42名が合祀されています。

その中には、長年の長男である名和義高（延元3年、堺浦安部野で戦死）、三男の名和高光（延元元年、山城国西坂本で戦死）、弟の名和泰長（元弘3年、出雲国で自害）、弟の名和行泰（建武2年、伯耆国船上山で自害）など、多くの武将が含まれています。その他にも、名和長重、名和義重、名和高通、名和高政、名和長氏、名和貞氏、名和高長、名和高年、名和行重、名和秀村、名和五郎兵衛尉、名和重村、名和興村、名和信貞、名和広貞、名和広次、名和助貞、名和助重、名和長信、名和高直、名和行実、名和助国、名和高国、内河真信、内河真親、内河真員、内河右真、内河右弘、内河義法、内河右景、内河武景、内河国時、河迫義元、河迫忠頼、荒松忠成、香原林元親、小鴨幸清、土屋宗清など、名和氏一族郎党の多くが、様々な戦場で命を落としています。

これらの名和氏一族の多くは、後醍醐天皇の皇室再興、建武の新政確立、そして南朝支持という共通の理念のもと、戦乱の世を駆け抜けた忠義の人々でした。彼らの勇敢な戦いぶりと悲劇的な最期は、名和神社に深く刻まれています。

社殿と歴史

名和神社の創建は、承応・明暦の頃（1652年～1658年）に、名和長年の功績を称える地元住民によって、名和氏の邸宅跡とされる場所に小祠が建立されたことに始まります。その後、鳥取藩主・池田光仲の崇敬により、延宝5年（1677年）に現在の社殿が造営され、遷座されました。

明治時代に入ると、名和氏の功績を改めて評価する動きが高まり、1873年（明治6年）には県社に列し、「氏殿神社」と改称されました。その後、関係者らの尽力により、1878年（明治11年）に別格官幣社に昇格し、「名和神社」と改称されました。さらに、社殿の改築も国費によって行われ、1882年（明治15年）に完成、翌年遷座式が執り行われました。

明治政府による神社の格付けにおいて、名和神社が別格官幣社に昇格するまでの過程は、関係者らの強い意志と、政府による名和氏の功績の再評価が大きく影響したことを示しています。それは、名和氏一族が後醍醐天皇の忠臣として、日本の歴史に大きな足跡を残したことを示すものでもあるでしょう。

名和神社の現在

現在も名和神社は、地域住民に大切に信仰され、歴史と伝統を継承しています。荘厳な社殿と、後醍醐天皇と名和氏一族の物語を伝える歴史は、多くの参拝者を引きつけています。名和氏の忠義と、激動の時代の歴史に触れたい方は、ぜひ訪れてみてください。

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