名岐鉄道デボ600形電車

名岐鉄道デボ600形電車について

名岐鉄道デボ600形電車は、名古屋鉄道（名鉄）の前身である旧・名古屋鉄道が導入した1500形電車の一部であり、1935年に形式が改訂された際に名付けられた。新たに区分されたこの7両、番号1519から1525は、1925年に製造された木造の2軸ボギー構造の電動車両である。これらは、名古屋地区の郊外を走る「郡部線」に導入され、地域輸送の一翼を担った。

歴史的背景と設計の違い

デボ600形は、1500形の1次増備車として、1925年8月から11月にかけて名古屋電車製作所で新たに製造された。旧型の1511から1518と似た二重屋根（ダブルルーフ）構造を特徴としているが、側面窓の配置などに若干の変更が施されている。この新たなデボ600形の主要機器の仕様も興味深い。

1519と1520は従来のイングリッシュ・エレクトリック製の主電動機を引き続き使用しているが、1521から1525では国産の東洋電機製品に変更され、出力が向上した。また、集電装置としてパンタグラフが新たに採用され、これによって効率的な電力供給が可能となった。

車体と主要機器の詳細

デボ600形は、全長約14メートルの木造車体で、運転台を前後に設けた両運転台構造が特徴である。丸形の妻面には三つの前面窓が均等に配置され、デザインが考慮されている。客用扉は両端に両開、中央部に片開の設計となっており、側面には5つの窓が配され、窓の配置は特異なものとなっている。また、二重屋根部にはガーランド式の通風器が採用され、車内はロングシート仕様で、公称定員は100人、座席数は44人である。

主要機器では、1519と1520ではEE製の直流直巻電動機が使用され、1521から1525では国産のTDK-31-Sが採用されている。また、制動装置はウェスティングハウス製が使用されている。これにより、安全性も向上している。

運用の変遷

導入当初、デボ600形は郡部線で運用されたが、尾西鉄道との統合による形式称号改訂が行われ、デボ600形601から607と改名された。戦後、車両の改造が進められ、何両かは火災や事故により元の形を部分的に失いながらも、運用を続けた。架線電圧の昇圧に伴い、運用が支線区にシフトしたが、これもまた変遷の一部であった。

1961年から63年にかけて、外部補強を目的とした簡易鋼体化が行われ、部分的に新しい技術が採用された。最終的には1966年に全車両が廃止され、名鉄1519から1525として導入されたデボ600形はその役目を終えた。各車両の台車や主要機器は他の形式に転用され、新たな運用へと繋がっていった。

名岐鉄道デボ600形電車は、その多くの改良や変更、そして戦争や時代の影響を受けながら、名古屋鉄道の鉄道史に重要な足跡を残した。

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