名誉研究員

名誉研究員（めいよけんきゅういん）

概要

名誉研究員（英: Honorary Fellow）とは、研究所や大学といった研究機関が、長年にわたり優れた研究成果を挙げたり、学術界に多大な貢献を果たしたりした研究者や有識者に対して、その功績を称え、贈与する名誉上の役職または称号を指します。一般的には「名誉フェロー」や「名誉学者」といった名称で呼ばれることもあります。これは、特定の研究機関に所属して日常的に研究活動を行う正規の研究員とは異なり、主にその人物が既に他の主要な役職を退いた後などに与えられることが多く、名誉職としての性格が強いのが特徴です。

種類と設置例

名誉研究員の称号や役職は、設置する機関の性質や目的によって様々な形態をとります。いくつかの代表的な例を挙げます。

名誉特別研究員

日本学術会議や独立行政法人日本学術振興会など、国の学術振興に関わる機関に見られる称号です。特定のプロジェクトやテーマにおいて、特に卓越した知見や実績を持つ人物に対して授与されることがあります。たとえば、過去には日本学術振興会の名誉特別研究員として秋篠宮妃が就任された事例などが知られています。

名誉客員研究員

国内外の大学などが、名誉職としての性格を持たせつつ、外部の著名な研究者などを客員として登用する際に設ける役職です。これは、必ずしもその機関に常駐して研究を行うことを義務付けるものではなく、講演や特定の研究プロジェクトへの助言など、柔軟な関わり方を想定していることが多いようです。著名な例としては、地球システム科学の提唱者として知られるジェームズ・ラブロック氏が、英国の海洋生物学協会会長や米国ハーバード大学教授などを歴任した後、英国オックスフォード大学の名誉客員研究員を務めました。また、英国環境汚染委員会の議長を務めたヨーク大学名誉教授のジョン・ロートン氏も、ロンドン自然史博物館の名誉客員研究員として活動していました。

名誉主任研究員

特にフランスなどのシンクタンクや公的研究機関において、顕著な功績を残した研究者に対して、名誉職としての主任研究員の地位を授与することがあります。例えば、フランス国立科学研究センター（CNRS）で長年、氷河や気候変動の研究に取り組み、副所長や所長を歴任したクロード・ロリウス氏は、1998年以降、古巣であるCNRSの名誉主任研究員として任命されました。これは、その研究者の貢献に対する深い敬意と、今後も機関との関係を維持したいという意図の表れと言えます。

その他の名誉研究員

上記以外にも、広義の「名誉研究員」として様々な機関で設置されています。日本の国立科学博物館や一部の独立行政法人などにその役職が見られるほか、中国の新疆文物考古研究所のように、特定の専門分野における貢献者に対して称号として授与される例も存在します。また、大学においても、イギリスの王立芸術大学院や、日本の早稲田大学、法政大学などが、功績ある人物に対して名誉研究員の称号や役職を設けています。

意義

名誉研究員の称号や役職は、対象者の長年にわたる学術研究や専門分野への貢献を公式に認め、敬意を表すためのものです。同時に、その人物が持つ知識や経験を、非常勤あるいは非公式な形であっても、引き続き機関の研究活動や教育、啓発活動に活かしてもらいたいという期待が込められている場合もあります。多様な形態を取りながらも、研究・学術分野における功労者への顕彰という点において共通の性格を有しています。

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関連項目

研究員
特別研究員
客員研究員
名誉フェロー

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