名誉称号 (囲碁)

囲碁の名誉称号：その資格、条件、そして棋士たち

囲碁界における名誉称号は、長年にわたり囲碁界に貢献し、輝かしい実績を打ち立てた棋士に贈られる特別な称号です。これは単なる肩書きではなく、その棋士の卓越した技術と、囲碁界への貢献を称えるものであり、囲碁ファンにとっても特別な意味を持ちます。

名誉称号とは

名誉称号は、特定の棋戦で連続5期、または通算10期タイトルを獲得した棋士に与えられる資格です。資格を得た棋士は、現役で60歳以上になった時、もしくは引退時に名誉称号を名乗ることができます。ただし、近年では連続10期（本因坊戦のみ9期）以上タイトルを獲得した棋士は、60歳未満でも名乗ることが可能になりました。

名誉称号は、タイトル名の前に「名誉」をつけたものが一般的です。例えば、「名誉棋聖」「名誉名人」といった具合です。ただし、本因坊については、「○○世本因坊」という特別な称号が用いられます。これは、本因坊が家元制度の時代から続く由緒ある称号であるためです。

複数の名誉称号を持つ棋士の場合、棋戦の序列が最も高い称号で呼ばれるか、「名誉三冠」といった名称で呼ばれることがあります。また、名誉称号保持者が自身の保持する棋戦に出場する際は、序列に関わらず当該棋戦の名誉称号が優先されます。さらに、名誉称号保持者が七大タイトルを奪取した際には、名誉称号ではなく、新たに獲得したタイトル名が優先されます。

将棋界との違い

囲碁界の名誉称号に相当するものが、将棋界の永世称号です。しかし、囲碁界では全タイトルで一律の条件（連続5期または通算10期）で資格が得られるのに対し、将棋界では棋戦によって永世称号の資格が異なります。例えば、名人・棋聖は通算5期、竜王は連続5期または通算7期、棋王は連続5期、王将は通算10期といったように、棋戦ごとに条件が設定されています。

2024年9月時点で、永世称号資格者は将棋界に11名、名誉称号資格者は囲碁界に10名存在します。また、女流棋戦においては、囲碁界が名誉称号を用いるのに対し、将棋界ではクイーン称号が用いられています。一般棋戦では、NHK杯トーナメントにおいて、囲碁・将棋ともに優勝10回で「名誉NHK杯選手権者」の称号が贈られます。

名誉称号に関するエピソード

2023年現在、七大タイトルの中で、十段位のみ名誉称号者がいません。七大タイトルにおける名誉称号の最多獲得者は、井山裕太の5つ（棋聖・王座・天元・本因坊・碁聖）です。次いで、小林光一が3つ（棋聖・名人・碁聖）、趙治勲が2つ（名人・本因坊）となっています。

また、名誉称号資格者の大竹英雄・石田芳夫・加藤正夫・趙治勲・小林光一の5人は、いずれも木谷實門下という共通点があります。これは、木谷道場が囲碁界に大きな影響を与えたことの証左と言えるでしょう。

主な名誉称号保持者

名誉棋聖: 井山裕太、小林光一
名誉名人: 趙治勲、小林光一
永世本因坊: 趙治勲、井山裕太
名誉王座: 加藤正夫、井山裕太
名誉天元: 井山裕太
名誉碁聖: 小林光一、井山裕太
名誉日本棋院選手権者: 坂田栄男
名誉NHK杯選手権者: 坂田栄男
* 名誉関西棋院第一位: 橋本昌二

まとめ

囲碁の名誉称号は、単なる称号ではなく、その棋士の長年の努力と囲碁界への貢献を称えるものです。名誉称号保持者の名前は、囲碁の歴史に永遠に刻まれ、多くの囲碁ファンに語り継がれていくことでしょう。

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