趙治勲

趙治勲（ちょう・ちくん）

趙治勲は、1956年6月20日に韓国の釜山で生まれ、後に日本棋院のトップ棋士として数々の記録を樹立した。名誉名人、二十五世本因坊のタイトルを持つ彼は、特に囲碁界における功績が際立っている。彼は歴代1位のタイトル獲得数を誇り、史上初の「大三冠」、「グランドスラム」の達成者として知られている。また、名人位を5連覇し、本因坊位では10連覇を達成した。439勝という通算勝利数も光る。

幼少期と来日

治勲は7人兄弟の末っ子として生まれ、貧しい家庭に育った。彼が4歳のときに囲碁を始め、早くもアマチュア五段の実力を持つようになる。治勲の長兄が日本に渡り、木谷実九段の門下生として修行することを勧め、両親に説得された治勲も1962年に来日する。最初の内弟子生活が始まり、言葉もわからない日本での新しい生活に直面する中で、すぐに日本語を習得し、孤独感を感じつつも囲碁の修行に励んだ。

初心者からの飛躍

7歳で入段し、その後も順調に昇段を続けていく。11歳1ヶ月での入段は当時の最年少記録であり、成長と共に周囲の期待も高まっていった。しかし最初の頃は怠けがちで、入段試験に失敗し続ける中で家族からも厳しい言葉を受け、挫折を経験するが、そこから努力と学びを重ねる。

初タイトル獲得と大三冠

1973年、17歳で新鋭トーナメント戦に優勝し、初の公式タイトルを獲得。1976年には王座戦を制し、さらに1979年から1982年にかけて名人、本因坊、碁聖、十段の四冠を達成。1983年には大三冠を達成し、まさに圧巻の成績を収めた。この時期は彼自身の棋風も確立されており、実利を重んじた戦法で知られるようになる。

不屈の精神

1986年には交通事故で重傷を負ったもののその後も復帰し、1987年にはグランドスラムを達成。彼の勝負強さは依然として健在で、棋戦での数々の逆転劇も印象深い。特に「七番勝負の鬼」という異名は、彼の圧倒的な戦績を物語っている。

歴史的記録の樹立

彼のキャリアには多くの記録が詰まっており、公式戦通算勝利数の大分岐である1600勝を達成し、その後も数々のタイトルで輝きを放ち続けた。近年でもシニア棋戦において優勝し、再び彼の名を囲碁界に刻んでいる。

人柄とユーモア

碁の対局中にはぼやきや一人語りで自らを奮い立たせたこともあり、ウィットに富んだ解説でも知られている。将棋好きであり将棋の名人と対局するなど、広いマインドを持つ多面的な人格が評価されている。彼の囲碁への真摯な姿勢とユーモアのある解説は、多くのファンからの支持を背負い続けている。

結論

趙治勲は、囲碁界の重鎮であり、偶然の産物ではなく計算された努力と才能から成功を収めた棋士である。彼の存在は、囲碁の魅力を広める大きな要素となり、若い世代へのインスピレーションを与え続ける。

もう一度検索