名誉駅長

名誉駅長とは

名誉駅長は、主に鉄道会社をはじめとする公共交通機関の駅において、設置者から授与される特別な役職や称号の一つです。これは名誉称号の一種として位置づけられており、駅の日常的な管理運営といった実務に携わることはありません。その役割は、地域住民や利用客との交流を深めること、あるいは駅や鉄道路線、周辺地域の広報活動を行うことにあります。

関連する役職や称号としては、一日駅長、名誉副駅長、名誉機関士、名誉車掌などが存在します。一日駅長は特に広報目的で設定され、任命期間が一日限りである点が特徴です。有名人や時には動物が務めることもあり、警察署の一日署長といったイベントと同様の性格を持っています。

名誉駅長という言葉は、厳密には固有名詞としての特定の役職や称号を指す場合もあれば、広く名誉職としての駅長やそれに類似する役職・称号全般を指す場合もあります。扱う対象も主に鉄道駅が中心ですが、自動車駅や道の駅、さらには物語やキャラクターといった創作物に関連する事例も存在します。

任命される人々や存在

名誉駅長には、様々な人物や存在が任命されています。

人間
鉄道会社や個々の駅が、地域との結びつきやPRを目的に任命することが一般的です。具体的な事例としては、
特定の駅がある地域にゆかりのある著名人。
地域の発展に貢献した人物。
鉄道会社の退職者（無人駅の管理などを任される場合もある）。
駅を利用する顧客の特典として（例：東急電鉄の「のるレージ」サービスで最高ランク到達者に認定される）。

例えば、JR東日本八王子支社では青梅線の無人駅に退職した社員を、JR西日本岡山支社でも同様に退職者を名誉駅長に任命しています。また、鹿島臨海鉄道の涸沼駅では地元住民が任命され、駅の管理の一部を担っています。さらに、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となった三陸鉄道では、登場人物を演じた俳優が久慈駅の名誉駅長に就任した例があります。

人間以外の存在
近年注目されているのが、動物や架空のキャラクターが名誉駅長に任命される事例です。
動物: 最も有名な例として、和歌山電鐵貴志川線の貴志駅で「客招き」を主な業務として駅長に任命され、大きな話題となった猫の「たま」が挙げられます。これに倣い、他の鉄道会社でも駅に関連する動物が名誉駅長となるケースが見られます。
キャラクター: アニメや漫画などの登場人物が、駅や地域のシンボルとして任命されることもあります。西武鉄道大泉学園駅では『銀河鉄道999』のキャラクターが、京王電鉄京王多摩センター駅ではハローキティが名誉駅長を務めた事例があります。海外の例では、台湾の高雄捷運橋頭糖廠駅で保護された猫が「駅長」（中国語で「站長」）となり、話題となりました。

これらの事例は、単に「駅長」と称される場合でも、駅の実務管理に携わらない名誉職である場合は、名誉駅長の範疇として扱われることがあります。道の駅においても、道の駅神話の里 白うさぎで飼育されているウサギが「ウサギ駅長」として任命された例があります。

関連する称号

名誉駅長と同様に、鉄道会社などが授与する名誉職として、以下のような称号があります。

名誉副駅長: 名誉駅長と同様に、PR活動の一環として著名人などが任命されることがあります。三陸鉄道の久慈駅では、名誉駅長に任命された俳優と共に、同作品で副駅長役を演じた俳優が名誉副駅長に委嘱された例があります。
名誉機関士: 機関車の運転などに関わる名誉称号です。ドイツの観光鉄道であるブロッケン鉄道では、著名な音楽家が名誉機関士を務めています。

これらの名誉称号は、駅や鉄道路線の魅力を高め、地域社会との連携を深めるための取り組みとして重要な役割を果たしています。

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