名越時中

名越 時中（なごや ときなか）は、明治14年（1881年）5月7日に生まれ、昭和35年（1960年）4月25日にその生涯を閉じた、大日本帝国陸軍の軍人であり、後に水戸市長も務めた人物です。最終階級は陸軍少将でした。

経歴

茨城県に生まれた名越時中は、地元の茨城県尋常中学校で学んだ後、陸軍士官学校に進み、軍人の道を歩み始めました。卒業後は歩兵科将校として、歩兵第25連隊に勤務。その後も歩兵第13旅団副官、歩兵第34連隊大隊長、独立守備隊第2大隊長、浜田連隊区司令官、歩兵第9連隊長といった要職を歴任し、順調に昇進を重ねました。軍歴を積んだ後、昭和5年（1930年）に予備役に編入されました。

軍を離れた後も、時中は社会との関わりを持ち続けます。昭和15年（1940年）には、戦時体制下の国民運動を推進する組織である大政翼賛会の茨城県支部において、常務委員に就任しました。

翌昭和16年（1941年）には、故郷である茨城県水戸市の市長に選出され、地方行政の舞台に立ちます。しかし、市長在任中、市議会において議論が紛糾する一幕がありました。議員たちが執拗に同じ質問を繰り返す態度に、軍人出身である時中は激しく憤慨したと伝えられています。すると彼は突如として「一同起立！」と号令を発し、その剣幕に思わず立ち上がった議員たちに対し、「ばかやろう」と一喝。そのまま議場を後にし、その場で辞表を提出するという、前代未聞の形で市長職を辞任したのです。この強烈なエピソードは、彼の人物像を示すものとして広く知られています。

水戸市長を辞任した後も、時中は再び軍務に就き、水戸連隊区司令官や水戸地区司令官を務めました。

第二次世界大戦終結後は、敗戦の責任を強く感じていたと言われています。社会貢献を志し、特に食糧不足が深刻であった時代背景を受けて、食糧増産のために未開地の開墾作業に従事したと伝えられています。しかし、戦後の混乱期にあって、旧軍人や戦時中の公職経験者を対象とした連合国による公職追放の対象となり、公職から追われることとなりました。

親族

名越時中には、思想史家として知られる名越時正という子がいます。

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