名鉄チ10形貨車

名鉄チ10形貨車の歴史と役割

名鉄チ10形貨車（めいてつチ10がたかしゃ）は、かつて名古屋鉄道において運用されていた長物車で、その中にはチ11からチ14の4両が含まれていました。これらの貨車は、愛知電気鉄道の初期に登場したものを元にしており、具体的にはチ810形（チ810 - チ813）という形式から改造されたものです。

改造の歴史

1930年（昭和5年）、愛知電気鉄道は木造の有蓋緩急車であるワブ300形を改造し、長物車のチ810形を作成しました。この改造においては、車体の中央に回転枕木が設けられるなど、特異な構造が工夫されました。このようにして生まれた長物車は、運搬効率の向上に寄与し、愛知電気鉄道の貨物輸送を支える一翼を担っていました。

1935年に名岐鉄道と愛知電気鉄道が合併し、名古屋鉄道が設立されると、これらの車両はすべて名古屋鉄道の所有となりました。そして、1941年にはチ10形（チ11 - チ14）へと改番され、この名で呼ばれるようになりました。

戦後の運用と役割

戦後は、チ10形は名古屋鉄道の東部線に配属され、様々な貨物輸送の現場で活躍しました。しかし、昭和40年代に入ると、車両の老朽化が進み、チ11とチ12の2両が廃車となりました。残されたチ13とチ14は、保線用の車両として転用され、昭和40年代後半には空気制動の設置改造が行われるなど、現役での使用を続ける努力がなされました。

廃車と形式消滅

しかしながら、1975年（昭和50年）には残っていたチ13とチ14も廃車され、この時点で名鉄チ10形は形式が消滅することとなりました。これにより、名古屋鉄道の歴史の中で重要な役割を果たしたこの貨車の時代が終わりを迎えたのです。

参考文献

名鉄チ10形貨車に関する詳しい情報は、多くの研究書や資料に基づいています。たとえば、清水武や田中義人、澤内一晃の共著による『名古屋鉄道の貨物輸送』や、小寺幹久の『名鉄電車ヒストリー』などがあります。これらの文献は、名古屋鉄道における貨物輸送の歴史をどう構築していったかについて、興味を持つ方にとって非常に有用なリソースとなっています。

名古屋鉄道の上を走り抜けるこのチ10形貨車は、地域の発展と共に歩んだ歴史を持ち、鉄道ファンや歴史愛好者にとっても貴重な存在であったことでしょう。

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