名鉄ツ600形貨車

名鉄ツ600形貨車

名鉄ツ600形貨車（めいてつツ600がたかしゃ）は、かつて名古屋鉄道で運用されていた、木造の通風貨車です。この車両は、日本車輌製造によって1922年に製造されており、愛知電気鉄道において使用されました。ツ600形は12 t 積の木造通風車として名を馳せ、全体で10両が製造されました。

形状と特徴

この貨車は、車体の側面に通風用スリットを設けており、引戸全体にも同様のスリットが設けられています。これにより、内部の通風が良好となり、特に青果物などの輸送に最適な構造となっています。また、同時期に製造された愛知電気鉄道のワ610有蓋車と寸法が共通であるため、物流業務においても互換性がありました。ツ600形は国鉄直通貨車としても機能しており、幅広い用途が求められた時代背景があります。

名古屋鉄道への引き継ぎ

1935年に名岐鉄道と愛知電気鉄道が合併し、名古屋鉄道が新たに発足しました。これに伴い、ツ600形の全車両も名古屋鉄道に引き継がれました。その後、1941年にはツ600形の番号がツ601からツ610に改番され、名古屋鉄道の一部として運用されることになります。特に東部線では、青果物の輸送に活用され、農産物流通の一翼を担いました。

戦後の運命

残念ながら、戦後の混乱の中でツ608が行方不明となり、その存在証明がされないまま1952年には廃車となってしまいました。残りの車両も1964年までに廃車となり、形式としてのツ600形は消滅を迎えました。このツ608については、一説には北海道に渡り、雄別炭礦尺別鉄道の雪かき車ワ14に改造されたとも言われています。

参考文献

• - 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。
• - 小寺幹久『名鉄電車ヒストリー』天夢人、2021年。

このように名鉄ツ600形貨車は、名古屋鉄道の歴史において重要な役割を果たしたことで知られています。木造でありながら実用的なデザインを持ち、合併や技術の変遷の中でその存在が引き継がれた点が注目されます。

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