名鉄トム900形貨車

名鉄トム900形貨車の詳細

名鉄トム900形貨車（めいてつトム900がたかしゃ）は、かつて名古屋鉄道で活躍していた木造の無蓋貨車です。この形式は、20両（トム901～トム920）の車両から構成され、運用開始当初から多様な用途で歴史を刻みました。

概要

トム900形は、愛知電気鉄道のトム900形（トム901～トム917）から17両、東美鉄道のトム10形（トム918～トム920）から3両が継承された貨車であり、製造時から空気制動を備えた国鉄直通貨車です。戦時中には、糞尿輸送用の特別な改造を施されることがあり、木製のタンクを装備して、特定の駅間で運用されていました。

戦中の利用

この時期、トム900形は、以下の駅から積み込まれる用途で使用されていました。

• - 今村駅
• - 国府宮駅
• - 布袋駅
• - 猿投駅
• - 大清水駅
• - 黒川原駅

糞尿の輸送に特化した改造は、戦争という非常時において貨物の効率的な運用を可能にしました。このような背景から、貨車の重要性は一層高まりました。

戦後の活躍

戦後は、東部線や西部線、瀬戸線での運用が始まり、地域の物流に寄与しました。1958年から翌年にかけて、6両が二軸ホッパ車ホ1形に改造され、積載能力を向上させる試みも行われました。

老朽化と形式消滅

1968年には、国鉄の貨物列車の速度が引き上げられ、既存のトム900形はその条件を満たせず、形式が消滅しました。トム901からトム917は1928年に日本車輌製造で製造され、初期は愛知電気鉄道の15トン積木造無蓋車として運用されていました。1935年に名岐鉄道と愛知電気鉄道が合併し、新たに名古屋鉄道が発足。その際、全車両が名古屋鉄道に引き継がれています。

サイズと設計の違い

トム918からトム920は、伊那電気鉄道で製造されたものを元にしています。この車両は、901-917と比べて全長が約150mm長いなど、設計面や重量面での違いがありました。1943年に東美鉄道が名古屋鉄道に合併したことにより、これらの車両もトム900形に編入され、運用を続けました。

参考文献

この貨車についての詳細な情報や歴史は、以下の文献に収められています。

• - 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。ISBN 978-4-8021-3270-1。

名鉄トム900形貨車は、その多様な使用用途や改造の歴史を通じて、名古屋鉄道の物流の一端を担った重要な貨車でした。

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