名鉄ト1形貨車

名鉄ト1形貨車の詳細

名鉄ト1形貨車は、かつて名古屋鉄道で用いられていた木製の無蓋貨車です。この貨車の歴史と特性について詳しく見ていきましょう。

概要と歴史

名鉄ト1形は、もともと瀬戸電気鉄道の貨車ト1からト10、ト15からト38の合計38両から成り立っています。これらの貨車は、1904年から1912年にかけて名古屋電車製作所によって製造されました。元々は荷重が7.0トンでしたが、1922年に改造を受けて荷重が10.0トンに増加しました。さらに1937年から1941年にかけては、床に鋼板を貼る改造が実施され、耐久性が向上しました。

1939年には名古屋鉄道が瀬戸電気鉄道を合併し、その後1941年には形式が変更されト1形（1-34）として再編成されました。その後も改造が続き、1962年には2両が改造を受けてチ90形（91・92）という形式に変わり、長物の貨物輸送に適した仕様となりました。

運用と廃車

ト1形は主に瀬戸線などで運用されていましたが、時代とともに貨物輸送の需要が減少していきました。これに伴い、ト1形の廃車も次第に進行しました。最終的に残った2両（14・15）は1966年に揖斐線に転属となり、黒野検車区に常駐していましたが、2005年12月15日に廃車されました。

チ90形に関しては、1975年に形式が消滅しています。

主要諸元

名鉄ト1形貨車の基本的な諸元は以下の通りです：

• - 全長：6,593mm
• - 全幅：2,590mm
• - 全高：1,708mm
• - 自重：6.0t
• - 荷重：10.0t

これらの寸法は、通常の木造貨車としては標準的なものであり、当時の貨物の運搬において重要な役割を果たしていました。

保存状況

廃車されたト1形のうち、15号車は三岐鉄道に譲渡され、現在は三重県いなべ市の貨物鉄道博物館に静態保存されています。かつては豊田市鞍ヶ池公園において、ト1形（1号車）が電気機関車デキ300形（302号車）やワフ70形緩急車（71号車）との編成で静態保存されていましたが、2003年に解体されました。

まとめ

名鉄ト1形貨車は、名古屋鉄道の貴重な歴史を持つ木造無蓋貨車として、当時の貨物輸送に寄与していました。その仕様や運用の変遷を知ることで、鉄道ファンや歴史愛好者にとって興味深い一ページが垣間見えます。このような歴史的な鉄道車両は、静態保存として地域の鉄道文化を伝え続けています。

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