貨物鉄道博物館

貨物鉄道博物館：知られざる貨物輸送の歴史に触れる

貨物鉄道博物館は、三重県いなべ市の三岐鉄道丹生川駅に隣接する、日本で唯一の貨物鉄道をテーマとした博物館です。2003年の開館以来、明治時代から昭和時代にかけて活躍した貨車や機関車など、貴重な鉄道車両を保存・展示し、日本の貨物輸送の歴史を伝えています。

概要

博物館の設立は、日本で貨物鉄道が営業を開始してから130周年を迎えた2003年。貨物輸送の歴史を後世に伝えるため、鉄道事業者や企業、個人から寄贈・貸与された車両や資料が展示されています。現存する最古級の車両や部品も存在し、鉄道ファンのみならず、歴史愛好家にとっても貴重な場所となっています。

展示車両は屋外に置かれ、自由に見て回ることが可能です。本館では、貨物鉄道に関する資料や貨車の部品、HOゲージの大型ジオラマなどが展示されており、子供たちが鉄道玩具で遊べるキッズコーナーも設けられています。

運営

運営はボランティアによって行われており、入館料は無料です。三岐鉄道は博物館建設のための基盤を整備しましたが、車両の搬入や展示、運営などの実務はボランティアに委ねられています。毎月第1日曜日に開館し（1月は第2日曜日）、多くの鉄道ファンや家族連れで賑わいます。

保存車両

博物館では、以下の車両が静態保存されています。

機関車

東武鉄道39号蒸気機関車：イギリス製の貴重な蒸気機関車。解体の危機を乗り越え、三岐鉄道に譲り受けられました。
巴川製紙所DB101号ディーゼル機関車

貨車

国鉄ワ1形有蓋車（ワ5490）：2008年に修復され、内部には1960年頃の積荷が再現されています。
国鉄ワフ21000形有蓋緩急車（ワフ21120）
国鉄テラ1形鉄製有蓋車（テラ146）
国鉄タ2000形タンク車（タ2001）：アルコール専用
国鉄タム500形タンク車（タム2920）：ガソリン専用
国鉄タム5000形タンク車（タム6263）：塩酸専用
国鉄タム8000形タンク車（アタム8000）：過酸化水素専用
国鉄シキ160形大物車（ロシキ160）
関西鉄道458号有蓋車（458）：関東鉄道から搬入。下回りの復元を目指しています。
蒲原鉄道ワ11形有蓋車（ワ11）
福井鉄道ホサ1形ホッパ車（ホサ1）
名古屋鉄道ト1形無蓋車（ト15）
名古屋鉄道ト200形無蓋車（ト246）
日本陸軍九一式軽貨車
日本陸軍九七式軽貨車
国鉄ホキ5700形ホッパ車（ホキ25767）：東藤原駅前に保存

これらのうち、名鉄ト200形ト246、西濃鉄道ワフ21000形ワフ21120、国鉄シキ160形シキ160、国鉄ホキ5700形ホキ25767の4両は、国立科学博物館の「重要科学技術史資料（未来技術遺産）」に指定されています。また、保存車両と資料群全体が、産業遺産学会の「推薦産業遺産」に指定されています。

その他の展示物

国鉄UR4形冷蔵コンテナ (UR4-1)
アント15形移動機

まとめ

貨物鉄道博物館は、日本の貨物輸送の歴史を垣間見ることができる貴重な博物館です。保存されている車両や資料を通じて、貨物鉄道が社会に果たしてきた役割を学ぶことができます。鉄道ファンはもちろん、歴史や文化に興味のある方も、ぜひ一度訪れてみてください。

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