名鉄モ600形電車 (2代)

名鉄モ600形電車について

名鉄モ600形電車は、名古屋鉄道（名鉄）が岐阜地区の美濃町線向けに1970年に導入した電車です。この車両の設計には、300 Vおよび1,500 Vの直流電化区間を走行可能な複電圧の機能が盛り込まれています。特に、美濃町線という狭い車両限界のある路線から、田神線経由で各務原線へ直通運転を行うために作られました。そのため、車両の断面は特徴的に絞り込まれ、「馬面電車」とも呼ばれる独自の外観を持っています。

導入の背景

1967年、岐阜工場の移転に伴い、美濃町線から新しい引込線が設けられました。この新しい配線を利用して、美濃町線の列車を各務原線経由で新岐阜まで直通させる計画が立てられたのです。そのため、美濃町線と異なる車両規格や架線電圧に対応できる車両の導入が必要となり、1969年に日本車輌製造によってモ600形が設計され、1970年6月に601号から606号の合計6両が新製されました。

車体寸法と設計

この車両の全長は14,890 mm、全幅は2,236 mmですが、特に美濃町線の制約に合わせて前後が絞り込まれた構造をしています。運転台は両端に設けられ、貫通扉を使用して連結も可能な仕様です。また、客室は全席クロスシート仕様で、通路幅を確保するために2+1の座席配置が採用されています。定員は90人で、屋内照明には蛍光灯が使用されています。

主要機器と走行性能

モ600形は、直流600 Vおよび1,500 V電化区間双方に対応するため、床下に電圧転換装置を搭載しています。この装置は自動で電圧を切り替え、走行環境に応じた適切な運転ができるよう設計されています。また、主電動機は東洋電機製造TDK-516-Eが採用され、4基電動機仕様と2基電動機仕様の異なる構成が実施されています。

運用の歴史

モ600形は1970年6月から運行が開始され、特に新岐阜直通の急行列車に多く使用されました。しかし、1975年にはその急行列車が廃止され、さまざまな運用変更が行われました。後に導入されたモ800形に伴い、2000年には5両が廃車となり、最終的にモ606号のみが存続しました。モ606は2005年に岐阜地区の600 V路線全線が廃止されるまで運用され、その後は静態保存されました。

保存状況と現在

残存するモ601は旧美濃駅に静態保存され、他の車両は各地で廃棄されたり解体されたりしてしまいました。このように、名鉄モ600形電車はその特異なデザインや複電圧対応の技術から、名鉄の歴史において重要な位置を占めていました。鉄道ファンや関心のある人々によって、今後もその文化的価値が認識され続けることでしょう。

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