名鉄岐阜市内線

岐阜市内線の概要

岐阜市内線は、岐阜駅前駅から忠節駅までおよび徹明町駅から長良北町駅までを結んでいた名古屋鉄道（名鉄）の路面電車です。全線は主に岐阜県岐阜市内を走行していましたが、2005年4月1日に全線が廃止されました。

この路面電車は、岐阜市の街中を走り、併用軌道として設計されており、一般道路と同じスペースを共有していました。具体的には、JR東海岐阜駅の北口から名鉄岐阜駅の西側を経由し、徹明町から千手堂までの間は徹明通りを、千手堂から忠節までは忠節橋通りを走行し、徹明町から長良北町までは長良橋通りを通りました。

運賃とサービス

廃止時には全線均一制の運賃が170円に設定されていましたが、他の名鉄線への直通の場合は、複数の運賃が合算される形を取っていました。ワンマン運転の場合、岐阜市内線のみに特化した列車では乗車整理券が発行されず、直通列車の忠節駅からは運賃が上がるため、発行されていました。さらに、徹明町駅での乗り継ぎには割引がなく、その都度運賃が発生しました。例えば、新岐阜駅前から徹明町を経由して競輪場前に向かう場合、徹明町で運賃が停止され、トータルで340円という形が一般的でした。

路線の特性と歴史

当路線は、初めに1911年に美濃電気軌道によって一部区間が開業しました。その後、忠節方面への開通は1925年に実現しましたが、歴史の中でさまざまな駅の移転や延伸が行われました。1967年には岐阜市議会において路面電車廃止の決議が可決されるなど、市の運営スタンスは長く敵対的なものでした。この影響で、後に多くの路線の廃止が決定されました。

廃止の経緯

岐阜市内線はモータリゼーションの進展に伴い、運行に困難をきたすことが多くなりました。渋滞による運行遅延や自動車との接触事故のリスクが高まる中、岐阜県警察も安全措置に対して消極的でした。1988年には一部区間が廃止され、利用者数が減少し始めました。

2003年には、路面電車の利用者数を増加させるための社会実験が行われましたが、結果は芳しくなく、2004年には名鉄が全600V区間の運営からの撤退を決定しました。この決定に対し、岐阜市では署名活動が行われ、存続の可能性が探られましたが、財政支援を行う余裕は無いとされ、結局廃止が決定されました。

廃止後の影響と動向

岐阜市内線の廃止後は、代替交通として岐阜バスが運行を開始し、利用者のバス転換率は55-60%に達しました。廃止により交通事故件数は約20%減少したものの、自動車の通行量は5%増加し、渋滞は一部で悪化しました。このような背景の中で、岐阜市の交通政策は依然として課題を抱えています。

岐阜市内線の廃止とその影響は、地域の交通構造に大きな変化をもたらしました。運輸の便益がバスに移行したものの、その利便性や乗客の安全性には依然として課題があります。再び鉄道の必要性が論じられることもあり、都市交通の在り方に対しての議論は続いています。

年表

• - 1911年: 美濃電気軌道による駅前 - 今小町間開業
• - 1988年: 徹明町 - 長良北町間の廃止
• - 2005年: 全線が廃止される

岐阜市内線は、歴史や地域社会への影響から見ても、ただの廃線ではなく、岐阜市の交通史における重要な一章です。

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