名鉄美濃町線

美濃町線の概要と歴史

美濃町線（みのまちせん）は、岐阜県岐阜市の徹明町駅から美濃市の美濃駅を繋いでいた名古屋鉄道の軌道線です。1999年には美濃市内の路線が廃止され、2005年4月1日に残りの区間も運行停止となりました。路線名は、かつての美濃町に由来しています。

路線の特徴

この路線は大部分が国道156号線と248号線に沿って敷設され、徹明町駅から北一色駅までは完全に道路と併用される形態でした。北一色駅から関駅までは、主に専用軌道を走行しており電車の走行が可能であったため、郊外電車としての機能を果たしていました。

美濃町線は、当初岐阜の繁華街と美濃市を結ぶように設計されましたが、その後徹明町駅に起点を変更。それに伴い、1970年には競輪場前駅と各務原線を結ぶ新線が開通し、新岐阜駅（現・名鉄岐阜駅）への直通運転も始まりました。この路線は600Vに電化されていましたが、各務原線は1500Vであるため、複電圧車両が導入されるようになりました。

競争と衰退

競輪場前駅近くを併走する岐阜バスの利便性が高まる中、美濃町線は厳しい競争にさらされることとなります。新車としてモ880形やモ800形などが投入されたものの、モータリゼーションの進展に伴い利用客数は次第に減少。特に1999年、新関 - 美濃間での利用者数が少なかったことからこの区間が廃止となりました。

代わりに、新関から長良川鉄道の関駅へ乗り入れる新たな路線が構築され、長良川鉄道が一部の列車を受け入れる形となりました。2001年には、岐阜バスとの共通乗車制度も導入され、一定の利用促進を図る試みがなされましたが、根本的な乗客数減少には歯止めがかかりませんでした。

学区制度の影響

さらに大きな要因として、1974年度から岐阜市と美濃市・関市との高校進学学区が分断されたことが挙げられます。この制度により、公立高校に通う学生が通学に不便を感じ、美濃町線の存在意義が薄れてしまいました。これにより通学定期券の収入も減少し、経営難が加速していきました。

廃線の経緯

2003年には名古屋鉄道が美濃町線を含む600V電化路線の運営から撤退を検討し、2004年には正式撤退を表明しました。これを受け、岐阜市など地域自治体では存続を求める協議が行われましたが、最終的には岐阜市長が財政難や利用客減から存続の断念を発表。2005年には全線の廃止が決定しました。

2005年3月31日には「さよなら運転」が行われたものの、様々なトラブルによりスムーズな運行はなされず、最終電車は翌日4月1日になりました。

現在の状況

廃止後、2006年から残された軌道跡は徐々に埋め立てられ、専用軌道の一部には太陽光パネルが設置されたものの、ほとんどは撤去された状態で残されています。日々の生活の中で、かつての美濃町線が育んできた歴史を感じさせるものは少なくなっています。なお、線路の跡の一部は道路拡幅や線形改良の影響で、完全にその痕跡を失ってしまった場所もあります。

美濃町線は、その運行形態において長い歴史と多くの人々に利用された路線でしたが、時代の変化とともに姿を消していきました。

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