共通乗車制度

共通乗車制度（きょうつうじょうしゃせいど）

共通乗車制度とは、鉄道やバスなどの公共交通機関において、特定の範囲内で複数の運営者が乗車券を共通に使用できる仕組みを指します。この制度は、交通が多様化し、複数の事業者が存在する地域において、移動の利便性を向上させるためのものです。

概要

多くの事業者が並存し、基本的に各事業者ごとに異なる運賃体系が設定されている地域や国において、共通乗車制度が導入されます。この制度では、特定の区域や区間で2社以上の事業者が共同で乗車券を運用することが可能になり、通常は各事業者が発行する乗車券を共通化する事例が多いです。これにより、顧客は希望する事業者に応じて個別に乗車券を購入する手間を省助し、手持ちの乗車券が使用できないという不便も解消されます。

事業者にとっても、乗車券の取り扱いが効率化し、公共交通全体の利便性向上に寄与するため、さまざまな移動ニーズに対応できるメリットがあります。バスに関しては、共同運行が行われている例が多く、その場合は共通の乗車券が使用されることが原則です。ただし、共同運行が行われていない場合でも、相互に乗車券を共通化することは可能です。

日本では、多数の公共交通事業者が存在している中で、原則として各事業者ごとの運賃体系が存在しています。しかし、指定された事業者の路線のみを使用することは不便とされており、各地で共通乗車券の導入が進められています。例えば、高速バスや空港連絡バス、近距離の路線バスなど、多くのサービスで共通化が実現されています。

さらに、1990年代以降の大都市では、PASMOやPiTaPaなどの共通カードが普及しつつあり、従来の路線ごとの共通化から、全面的な共通化へと移行が進んでいます。鉄道においても、1980年代以降に共通乗車制度が縮小傾向にある中、JR各社では原則共通の乗車券が発行されています。

海外の例

香港では、MTRやバス、トラム、フェリーなど多様な交通機関で共通の前払い式ストアードフェアカード「オクトパス」が利用されています。これにより、観光客も簡単に公共交通機関を利用できるようになっています。

台湾でも、台北捷運や高雄捷運などの交通機関で使用できる前払い式の「悠遊カード」や「一卡通」が普及しています。これらのカードを用いることで、町内のバスから鉄道まで、さまざまな乗り物をスムーズに利用できます。

精算方法と乗り場

共通乗車制度では、現金での支払いがそのまま収受した事業者の利益となるため、乗車券は各社で発行され、最後に幹事会社からの分配を受ける形になります。乗り場に関しては、共同運行の場合とは異なり、地域ごとに乗り場の指定が異なるため、利用者の便宜を図るため最近では各事業者がバスターミナルに乗り入れる例も増えています。

乗客にとっては、共通乗車制度により多様な選択肢が用意され、移動が一層便利になることが期待されています。

もう一度検索