名鉄鷹来線

鷹来線について

鷹来線（たかきせん）は、名古屋鉄道が計画した未成線で、愛知県の小牧市にある新小牧駅と、同県春日井市にあった陸軍造兵廠を繋ぐルートが構想されていました。当初は鳥居松線（とりいまつせん）と名付けられ、名古屋市北区の味鋺駅から新小牧駅までの路線が提案されていました。

計画の背景

1941年（昭和16年）に、鳥居松村には陸軍工廠名古屋工廠鳥居松製造所、篠岡村には名古屋陸軍幼年学校、鷹来村には名古屋陸軍造兵廠高蔵製造所鷹来分工場がそれぞれ設立されました。これに伴い、労働者の輸送手段を確保するために鉄道の整備が求められていました。名古屋鉄道はその要請に応え、同年10月3日に鉄道敷設の申請を行ったのです。

路線の詳細

新小牧駅を起点とし、途中に勝川町、鳥居松村、篠木村、鷹来村、篠岡村、味岡村を通ります。計画されていた路線は併用軌道として9.71キロメートル、新設の軌道として2.99キロメートル、合計で12.7キロメートルに及ぶものでした。味鋺から勝川町までの1.74キロメートルは既存の勝川線を利用し、その後は新設または併用の形で展開されていく予定でした。

しかし、最寄りの国鉄中央本線の鳥居松駅の近くに既に専用線が存在していたため、味鋺から鷹来の間は新たに線路を設ける必要がないとして、名古屋鉄道はこの区間の認可を得ることができませんでした。1943年（昭和18年）には、名古屋鉄道が特許を取得したのは鷹来から新小牧の間の4.4キロメートルのみでした。

着工とその後

1945年（昭和20年）に着工された鷹来線は、同年8月には路盤のほとんどが完成していましたが、線路敷設へと進む段階で終戦を迎え、この計画は中止となりました。その後、1961年（昭和36年）には特許が失効しています。

現在の状況

2021年現在、鷹来線の計画に関連するバス路線として、名鉄バスの小牧勝川線やこまき巡回バスの運行がありますが、運行本数は限定的で、1時間に数本程度となっています。

歴史の流れ

• - 1941年10月3日：名古屋鉄道が鳥居松線として味鋺から新小牧までの鉄道敷設を申請。
• - 1943年10月6日：鷹来から新小牧間の特許取得。
• - 1944年10月5日：軌道工事施行申請。
• - 1945年4月24日：工事認可。
• - 1945年5月1日：着工。
• - 1945年8月：全体の約50%（路盤）が完成。
• - 1945年8月15日：終戦（工事中断）。
• - 1961年7月25日：特許失効。

参考文献

詳細な情報の参照には次の文献が役立ちます。『小牧の文化財 第二十集 - 小牧の歴史』や、井戸田弘著の『東海地方の鉄道敷設史III』があります。これらの資料より、鷹来線を含む愛知県の鉄道の歴史をさらに掘り下げて理解することができます。

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