名鉄7300系電車

名鉄7300系電車

名鉄7300系電車は、1971年に新たに名古屋鉄道によって製造された電車で、特に支線直通の特急サービス用として設計されました。この系統の電車は、1997年にほとんどの車両が豊橋鉄道に譲渡され、原形式・原番号のまま運用されましたが、2002年に全ての車両が廃車となりました。

概要

7300系は、旧型車両の機器を流用した吊り掛け駆動方式の間接自動制御車（AL車）です。この車両は、モ800形や3400系といった他のAL車との連結も可能で、設計上は7000系パノラマカーの7次車に非常に似ていました。特に、貫通型の前頭部を持ちながらも、そのほかの要素は7000系に近い形状となっています。また、元々は座席指定特急にも使用される予定であったことから、ミュージックホーンや座席指定表示器が備えられていましたが、晩年にはそれらは撤去されました。

車体構造

7300系の車体は、高性能低床タイプの7500系パノラマカーに基づいており、特に冷房機器や窓の構造は3780系のHL冷房車と似通っています。しかし、前面形状は簡素で、窓の設計も大きいため、全体的に平面的な印象を与えます。また、連結器は密着自動連結器ではなく、他のAL車と共通のものが使用されています。このことから、後に「セミパノラマカー」と呼ばれるようになり、登場当初から「似非パノラマカー」として揶揄されることもありました。

内装

内装については、戸袋部を除いてオール転換クロスシートが採用されており、座席モケットは当初灰緑色でしたが、後に赤色やエンジ色に変更されています。また、冷房装置は高性能であり、側窓には合わせガラスが使用されています。照明も7000系と同様の蛍光灯を採用し、後にカバーが撤去されるなどの変更が行われました。

動力装置と走行性能

7300系の主電動機は、出力110 kW級のもので、制御器も標準品に統一されています。走行性能は、他のAL車と並行して営業最高速度は100 km/h、起動加速度1.8 km/h/sに達します。このため、日常的に他のAL車との混結運転が可能となっていました。

編成と運用経歴

7300系は、2両編成と4両編成から構成され、合計で30両が製造されました。特に1971年に支線直通用の特急車両として登場し、主に三河線で運用されました。しかし、7000系や7700系が増えたことで、その運用は変化していきます。1970年代後半から80年代にかけて、AL車との連結運用が増え、特に冷房装置を有する車両として旅客サービス向上に寄与しました。

豊橋鉄道への譲渡

1997年、全車両は豊橋鉄道に譲渡され、豊橋線で運用されることとなりました。ここでもカラーリングや機器の変更が行われ、ラッシュ時の運用で使用されましたが、運用上の問題から短期間で置き換えられました。その後、数両が保存されることとなり、現在でも一部は比較的良好な状態で保全されています。

結論

7300系電車は、名古屋鉄道およびその後の豊橋鉄道において重要な役割を果たしましたが、廃車となった後は、いくつかの車両が保存されています。そのデザインや性能、運用歴は、鉄道ファンにとって興味深いテーマの一つです。

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