名鉄EL120形電気機関車

名鉄EL120形電気機関車

名鉄EL120形電気機関車は、名古屋鉄道が保有する直流電気機関車であり、主に保線作業や貨物輸送に使用されます。名鉄にとって72年ぶりの新製電気機関車であり、東芝によって製造されました。また、EL120形は、最近では西武鉄道のE31形機関車以来の新型機関車となっています。

機関車の目的

このEL120形は、名鉄が1984年の貨物営業廃止後も保線作業用に電気機関車を運用し続けていた背景から生まれました。旧型電気機関車は製造から70年以上が経過し、老朽化が進んでいました。またその最大速度が45km/hと遅く、運行ダイヤに支障をきたしていました。名鉄はそのため、新型電気機関車の導入を決断しました。

車両のデザインと特徴

EL120形の車体は、全長12,000mm、車幅2,600mmの普通鋼製で、運転室と機械室を配置しています。二重構造の扉により、気密性と静粛性が考慮されており、機械室には側窓や点検用の開口部があります。また、屋根は4分割されていて、集電装置などを容易に取り外しできる構造になっています。特に外観はJR貨物のEH800形機関車に似ており、デザインには「名鉄らしさ」が表現されています。車体色はスカーレットで、側面にはローマン体で車両番号が表記されています。

運転室の配置

運転室は、主幹制御器とブレーキ設定器が一体となった右手操作のワンハンドル式を採用しています。計器盤には速度計や圧力計が配置され、保線作業時に使用する定速スイッチも備えています。運転室には3名まで着座可能な座席があり、運転席の高さは前方視界を良好に保つためにわずかに高められています。

主な機器と性能

EL120形は、東芝製のIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御装置を搭載しています。これによりトルク制御や回生ブレーキが可能で、非常時には2台の主電動機での単独走行も実現しています。主電動機は190 kWの出力を持つ全密閉式カゴ形三相誘導電動機であり、騒音低減にも配慮されています。

制動装置は回生ブレーキと全電気指令式空気ブレーキを併用し、効率的な制動性能を持っています。また、台車は新日鐵住金のモノリンク式空気ばね台車を採用しており、車輪径は860mmです。

運用と導入の背景

EL120形は2015年に製造され、本格運用は同年5月から開始されました。導入後は工事列車や廃車車両の輸送など多岐にわたる運用が行われています。特に試運転時には単機で本線を走行することがあるほか、重連やプッシュプルでの運用も一般的です。

この新型機関車の登場によって、名鉄の保線作業においてもより効率的な運行を実現することが期待されています。EL120形は、その性能や機能性から今後も名鉄の重要な機関車として活躍していくことでしょう。

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