吏曹

吏曹（イジョ）について

吏曹は、朝鮮の高麗末から李氏朝鮮時代にかけて存在した重要な行政機関であり、特に人事に関する権限を持っていました。この機関は、1392年に設立され、1894年に甲午改革によって内務衙門と改名されるまで、長い間機能を果たしていました。

吏曹の役割と機能

吏曹は「天官」と称され、これは彼らが持つ人事権に由来しています。さらに、仮に兵曹と共に「両銓」とも称されていました。もともと、吏曹は1389年に李成桂派によって確立された六曹の一部であり、設立当初は人事業務というよりも、他の官庁と連携しながらその実務を負っていました。

特に1405年に、吏曹は人事権を強化され、尚瑞司からその権限が移譲されました。この転換は、吏曹が文官の人事を管理する基盤を作る重要な出来事でした。その後、1414年には武官や女官に関する人事権も付与され、吏曹は宮中全体の人事権を掌握する地位に立ったのです。

また、吏曹の業務は多岐にわたり、銓選、勲封、封爵、禄牌、録案、賜牌、告身、郷吏の派遣などが含まれました。特に銓選により、官吏の昇進や役割の兼任が可能となり、告身を通じて官職を剥奪する権限も持っていました。

組織構成

吏曹はその組織内部でも特定の役割に分かれており、以下のような人員で構成されていました：

• - 假郎聴：1人
• - 録事：1人
• - 書吏：25人
• - 書写：1人
• - 庫直：1人
• - 政庁直：2人
• - 文書直：1人
• - 使令：21人
• - 軍士：2人

このように、吏曹自体は官職を遂行するために適切な人員が配置されており、組織としての機能を果たすことができました。

吏曹の影響

吏曹が持つ人事権は、朝鮮時代における官吏の構造に重大な影響を与えました。宮中の権力はこの機関を通じて集中的に管理され、官吏の選考や資格に関する規範を策定しました。結果的に、吏曹の存在は李氏朝鮮の政治機構全体にも影響を及ぼし、権力の分配において中心的な役割を果たしました。

つまり、吏曹は単なる官庁ではなく、その権限と機能を通じて朝鮮の政治的風景を形成した重要な組織であったと言えるでしょう。

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