向島駅 (東京都)

京成電鉄 向島駅

京成電鉄向島駅（むこうじまえき）は、東京都墨田区に位置していた、同社押上線の鉄道駅です。現在は営業を終え、廃駅となっています。かつては、京成白鬚線がこの駅から分岐していました。

歴史

向島駅は、大正時代の1914年（大正3年）6月20日に京成電気軌道の駅として開業しました。昭和初期の1928年（昭和3年）4月7日には、当駅から分岐する形で白鬚線が開業し、向島駅は押上線と白鬚線の接続駅としての役割を担うようになります。しかし、白鬚線はわずか8年後の1936年（昭和11年）3月1日には早くも廃止されました。

その後、第二次世界大戦中の戦況悪化に伴い、向島駅は1943年（昭和18年）10月に営業を休止します。そして、終戦後の1947年（昭和22年）2月28日をもって正式に営業廃止となり、その役目を終えました。

廃止後の状況

駅の廃止後、しばらくの間は上り本線に沿ってホームの側壁の一部が残存しているのが確認されていました。しかし、周辺で行われた連続立体交差化工事の際にこれらの構造物は撤去され、今日では駅の存在を示す明確な地上の痕跡はほとんど見られません。

ただし、駅があった周辺の土地は、営業終了後も京成電鉄の所有地として維持されています。このため、この土地は京成電鉄自身やその関連会社によって、様々な工事や事業のための拠点として活用されてきました。具体的な例としては、以下のようなものがあります。

• - 1959年頃に行われた京成線の改軌工事の際には、車両の台車交換を行う基地として利用されました。
• - 1960年から1968年にかけては、都営地下鉄浅草線（当時は都営1号線）の向島検修場への分岐点として、向島信号場が設置されていました。
• - 1991年から2001年にかけて行われた押上線の荒川橋梁架け替え工事では、その作業基地として使用されました。
• - 比較的近年の事例では、2008年から2017年にかけて実施された押上駅と八広駅（旧・荒川駅）間の連続立体交差化工事においても、主要な作業基地の一つとして活用されています。

このように、駅としての機能は失われたものの、その跡地は長年にわたり京成電鉄のインフラ整備において重要な役割を果たし続けています。

かつての隣駅

向島駅が現役であった頃の隣接駅は以下の通りです。

京成電鉄押上線
京成曳舟駅 - 向島駅 - 荒川駅（現在の八広駅）
京成白鬚線（廃線）
向島駅 - 長浦駅

これらの駅名を見ると、向島駅がかつて京成線のネットワーク内でどのような位置づけであったかをうかがい知ることができます。

関連項目

* 廃駅

以上が、京成電鉄押上線にかつて存在した向島駅に関する概要と歴史、廃止後の状況についての解説です。駅自体は姿を消しましたが、その跡地は現在も鉄道事業に間接的に貢献しています。

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