張任

張 任（ちょう じん）

張任は中国後漢末期に活躍した武将であり、益州蜀郡の出身です。彼は劉璋の配下として知られ、貧しい家庭に生まれましたが、その才能を活かして文武両道に秀でた存在となりました。最初は州の従事に任命され、地元の行政に関与しました。

生涯の概要

劉備が荊州を攻勢に出し、益州に進攻してくると、張任は冷苞や鄧賢とともに彼を迎え撃ちました。しかし、涪城で劉備軍に敗北したため、彼は雒城へと退却することになります。そこで劉循と共に籠城し、劉備の攻撃に備えましたが、金雁橋での出撃の際にも再び敗北し、捕虜となってしまいました。

劉備は張任の忠誠心と勇敢さを高く評価し、彼に何度も降伏を勧めますが、張任は毅然と「老臣は決して二君に仕えるつもりはない」と述べ、拒否を続けました。そのため、最終的には首を刎ねられることとなりました。劉備は敵ながら、最後まで張任の義理を評価し、彼の遺体を金雁橋近くに埋葬して敬意を示しました。現在、四川省広漢市北外郷には「張任墓」が存在し、県級の文物保護単位となっています。

張任の遺産と歴史的解釈

興味深いことに、1964年の埋葬地の発掘調査では、晋代の別人の墓の可能性が示唆される磚が出土しました。これは張任の実際の墓とするには疑問が残りますが、彼の名は歴史に深く刻まれています。

演義における描写

小説『三国志演義』において、張任は正史とは異なる描かれ方をしています。彼は老将として評価される一方で、厳顔が老将として描かれるなど、人物設定に変化があります。演義では、彼は劉備の入蜀に対する危険性を説いて反対しようとしましたが、劉璋にはその意見が通りませんでした。

また、劉備の側近である龐統が宴席での陰謀を仕掛ける中、張任は彼を守るため魏延と協力して行動するなど、劇的な場面が展開します。さらに、張任は雒城に籠もって劉備軍を防ぎ、落鳳坡では敵将龐統を射殺するなどの戦果を上げましたが、最終的には諸葛亮の計略により敗亡し、捕えられることになりました。

最期の決断

その後、張任は劉備から降伏を勧められるものの、やはり拒否し続けました。劉備も彼を処刑することに躊躇いを示しましたが、最終的には諸葛亮の意見を受け入れ、張任は命を落とすことになりました。彼の行動と忠義は、後世に語り継がれており、三国志の中でも特に印象深い人物の一人となっています。

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