孟嘗君

孟嘗君について

孟嘗君（もうしょうくん、? - 紀元前279年）は、中国の戦国時代に活躍した公族であり政治家です。彼の本名は田文（であり、氏は田、姓は嬀です。斉の威王の孫でもあり、戦国四君の一人として知られています。

幼少期からの経歴

田文の父、田嬰は斉の宣王の異母弟で、薛という地域に領地を持っていました。田嬰には40人以上の子がいたが、田文の母は低い身分の出身であり、さらに田文は5月5日に生まれたため、父に殺されそうになるという非運に見舞われます。しかし、母が密かに田文を育てたことで、命拾いしました。このエピソードは真実かどうか賛否がありますが、彼の人生に重要な影響を与えました。

成人してから初めて父と対面した際、田嬰は彼に対し生まれた日を理由に怒りを表しますが、田文は柔軟な発想で対抗し、その結果、父は田文を許し、共に暮らすことになりました。田文は食客を受け入れることにより評判を高め、最終的に父の跡継ぎとして立てられました。

鶏鳴狗盗の故事

田文は多くの食客を抱えることになり、その中には知識人や武人だけでなく、盗賊や物真似師もいたことが名声の源でした。ある事件がきっかけで彼の名声がさらに高まりました。食事中、田文が衝立を置いたことで、食客の一人が料理の質に疑念を抱き、その結果、田文は疑いを晴らすために証明をしました。彼を疑った食客は自ら命を絶つに至ることとなり、これが田文の名声を高める一因となったのです。

湣王2年（紀元前299年）は、秦の昭襄王が田文を宰相に推薦し、彼が秦に赴くことになりますが、彼が斉の出身であるために逆に危険な目に遭うことに。田文が命乞いをしながらサポートを受け、更に「鶏鳴狗盗」の故事のように奇策を巡らし、危機を回避する話は特に有名です。彼の逃避行は機知と運命に満ちたものとなりました。

斉での宰相としての活動

戻った斉で田文は宰相の地位に就き、内政を整え国力を向上させました。しかし、彼の成功は湣王の猜疑心を呼び起こし、田文は宰相を罷免される事態に。彼に従っていた食客の多くは彼から去ってしまいましたが、中でも馮驩だけは残り、彼の復職を助けます。馮驩の助けを借りて再び宰相に復職しますが、田文は湣王の不興を意識し、退避することを考えます。

語り継がれる逸話

「狡兎三窟」の逸話も田文に関係しており、彼自身の暗い未来に備えるための戦略を示しています。最終的に田文は魏に逃れ、宰相として再起する道を選びましたが、湣王に対する不満は募るばかりでした。彼は生涯の終わりを迎えた際、彼の名声と家族の行く末について考えさせられることになります。

孟嘗君の遺産

孟嘗君の死後、彼の後継者たちは権力争いを繰り広げ、最終的にはその子孫は消え去ってしまいます。彼の業績は中国史に刻まれ、偉大な政治家として名を馳せました。彼については司馬遷の『史記』にも記されていますが、その影響力や食客たちとの関係は今なお語り草です。また、彼に関連した作品も多く、例えば宮城谷昌光による小説『孟嘗君』が有名です。

孟嘗君の人生は、巧みな政治手腕と豊富な人望に支えられたものであり、そのエピソードは現代でも人々に影響を与えています。

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