君と歩いた青春 (太田裕美のアルバム)

君と歩いた青春

概要

『君と歩いた青春』（きみとあるいたせいしゅん）は、シンガーソングライター太田裕美が1981年11月1日に発表した、通算15枚目のオリジナル・アルバムです。本作は、太田裕美が翌年にアメリカへ渡り、音楽活動を一時休止することを決めた時期に制作されました。時代を経て、1998年にはCDとしても再リリースされています。

制作背景と意図

このアルバムの制作には、太田裕美の特別な思いが込められていました。後に本人が語ったところによると、休業を目前に控える中で、「もしかすると、もう日本に戻ってこないかもしれない」という考えが頭をよぎることもあったといいます。そのため、これまでの約7年間にわたる自身の音楽活動を振り返り、「総決算」ともいえる作品として位置づけました。一切の心残りがなく、自身の音楽の足跡を一つの完成した形として残しておきたいという強い気持ちで、本作の制作に心血を注いだとのことです。

楽曲構成

『君と歩いた青春』は、全10曲が収録されています。

アルバムタイトルにもなっている同名楽曲「君と歩いた青春」は、伊勢正三が作詞・作曲を手がけた楽曲です。この曲は、元々は1976年リリースのアルバム『12ページの詩集』に収録されていましたが、本作を制作するにあたり、改めてボーカルやアレンジが加えられた形で再録音されました。この再録音バージョンは、アルバムに先駆けてシングルとしてもリリースされており、太田裕美の代表曲の一つとして知られています。

タイトル曲を除く残りの9曲は、すべて太田裕美自身が作曲を担当しました。歌詞については、太田裕美本人をはじめ、彼女がデビューして以来約7年間で深い信頼関係を築き、多くの楽曲を共に作り上げてきた、日本の音楽シーンを代表する様々な作詞家たちが詞を提供しています。長年の活動で培われた音楽的な繋がりが、アルバム全体のカラーを豊かにしています。

収録曲

本作に収録されている楽曲、およびそれぞれの作詩・作曲・編曲者は以下の通りです。

1. セカンド・ラン －二番館興業－
作詩：小此野木七枝子、作曲：太田裕美、編曲：萩田光雄
2. 雪・一信
作詩：ちあき哲也、作曲：太田裕美、編曲：大村雅朗
3. くちぐせ
作詩：山川啓介、作曲：太田裕美、編曲：萩田光雄
4. しあわせあそび
作詩：来生えつこ、作曲：太田裕美、編曲：萩田光雄
5. あなたのそばに･･･
作詩・作曲：太田裕美、編曲：大村雅朗
6. 君と歩いた青春
作詩・作曲：伊勢正三、編曲：萩田光雄
（注）この楽曲は、1976年のアルバム『12ページの詩集』収録曲の再録音バージョンであり、アルバム発売に先行して21枚目のシングルとしてもリリースされました。オリジナルは風の歌唱です。
7. Smile
作詩：岡本おさみ、作曲：太田裕美、編曲：大村雅朗
8. 時間列車
作詩：岡田冨美子、作曲：太田裕子、編曲：萩田光雄
9. 恋はミステリー
作詩：KURO、作曲：太田裕美、編曲：萩田光雄
10. サヨナラの岸辺
* 作詩：松本隆、作曲：太田裕美、編曲：大村雅朗

このアルバムは、太田裕美のキャリアにおける重要なターニングポイントを示す作品であり、過去の軌跡を振り返りつつ、一時的な活動休止を前にファンへ送るメッセージとも受け取れる、聴きごたえのある一枚と言えます。伊勢正三による名曲と、太田裕美自身の作曲による多様な楽曲が収められており、彼女の音楽性の幅広さや、長年にわたる音楽仲間との絆を感じさせます。

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