君をこえる日

君をこえる日：角松敏生11枚目のオリジナルアルバム

1992年12月16日、角松敏生11作目のオリジナルアルバム『君をこえる日』がリリースされました。このアルバムは、角松敏生が活動を一時的に凍結する前に発表した最後のオリジナルアルバムという重要な意味を持っています。

アルバムの背景と特徴

『君をこえる日』は、角松敏生の音楽的探求と、その後の活動に大きな影響を与えた作品と言えるでしょう。アルバムには、彼のプロデューサーとしての才能と、洗練された音楽性が凝縮されています。先行シングルとしてリリースされた「君たちへ… 〜BONとYUKARIのBALLAD〜」は、アルバム収録にあたりリズムアレンジが変更されるなど、細部にわたるこだわりが感じられます。また、タイトル曲である「君をこえる日」は、後にベストアルバム『1988-1993』にも収録され、角松敏生の代表曲の一つとして広く認知されることとなります。

特筆すべきは、コンピューターマニピュレーターとして山田洋が初めて参加した点です。山田洋はその後、2010年リリースの『Citylights Dandy』まで、角松敏生のレコーディングやライブに継続的に参加することになります。彼の参加は、角松敏生の音楽表現に新たな可能性をもたらしたと言えるでしょう。

興味深いエピソードとして、活動凍結期間中に布施明が「君をこえる日」をカバーしたことが挙げられます。このカバーがきっかけとなり、布施明とのコラボレーションが実現。シングル「ありがとう」（小坂忠のカバーでカップリングに「君をこえる日」収録）や「Around the world」（角松敏生書き下ろし）のリリース、そしてアルバム『Estimado』での共演へと発展していきました。これは、角松敏生の音楽が他のアーティストにも大きな影響を与えたことを示す好例です。

楽曲解説

アルバムには全6曲が収録されており、角松敏生自身の作詞・作曲・編曲による楽曲が中心となっています。ストリングスアレンジには小林信吾が参加し、楽曲に奥行きと深みを与えています。

君をこえる日: タイトル曲。壮大なスケール感と、角松敏生らしいメロディーが印象的です。
PORT OF YOUR HEART, SAIL OF MY LIFE: 加藤健による作詞、角松敏生による作曲・編曲。英語詞による楽曲で、国際的なサウンドが特徴です。
時の挽歌: 切ないメロディーと、叙情的な歌詞が心を揺さぶるバラード。
泣かないでだっくん: 親しみやすいタイトルとは裏腹に、繊細で奥深い表現が聴き手の心を捉えます。
* 君たちへ… 〜BONとYUKARIのBALLAD〜: 先行シングルとしてリリースされた楽曲。アルバムバージョンでは、アレンジが変更されています。東京ガスファンヒーターのCMソングにも起用されました。

スタッフクレジット

『君をこえる日』は、多くのミュージシャンやスタッフの協働によって制作されました。角松敏生自身による演奏に加え、阿部薫（ドラムス）、青木智仁（ベース）、浅野祥之（ギター）、小林信吾（ピアノ）、友成好宏（キーボード）、勝田一樹（サックス）、そして山田洋（コンピューターマニピュレーター）など、豪華なメンバーが参加。友田グループによるストリングスもアルバム全体を彩っています。エンジニアリングには、内沼英二氏、関根哲男氏、下宮弘氏らベテラン陣が名を連ねています。

まとめ

『君をこえる日』は、角松敏生の音楽家としての才能、そしてプロデューサーとしての力量が存分に発揮された作品です。活動凍結前最後のオリジナルアルバムとして、彼の音楽史における重要な位置づけを占め、多くのリスナーに愛され続けています。このアルバムを聴けば、角松敏生の音楽世界を深く理解し、その魅力に浸ることができるでしょう。様々なアーティストとのコラボレーションや、その後の音楽活動にも繋がる重要な作品として、高く評価されています。

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