君波隆祥

君波 隆祥（きみなみ たかよし）氏は、1958年7月20日に埼玉県熊谷市で生まれた元プロ野球選手です。右投げ左打ちで、主に捕手として活躍しました。

アマチュア時代

熊谷商業高校では、1975年秋に関東大会県予選の準々決勝まで進出しましたが、惜しくも敗退しました。高校卒業後、1977年に中央大学へ進学。大学には当時、上級生に後に大学日本代表となる捕手の長井研介氏がおり、君波氏は3年生までは外野手も兼任していました。

東都大学野球リーグでは、1年上のエース香坂英典氏と共に、1979年春季リーグで優勝を果たします。さらに、同年の全日本大学野球選手権大会では、決勝で早稲田大学を破り、全国制覇を経験しました。大学の同期には、プロで活躍する高木豊氏などがいました。

プロ入りとヤクルトでの歩み

大学卒業を控えた1980年オフ、君波氏はドラフト外でヤクルトスワローズに入団します。背番号は「30」を与えられました。

プロ入り後、1982年に初めて一軍の舞台に立ち、同年から2年連続でジュニアオールスターにも出場するなど期待されました。しかし、当時のヤクルト捕手陣は、大矢明彦氏や八重樫幸雄氏といった実力者たちが控えており、さらに後年には秦真司氏、中西親志氏、そして古田敦也氏が入団するなど、非常に層が厚く、君波氏が一軍でレギュラーの座を掴むことは容易ではありませんでした。

ファームでの活躍と打撃への評価

一軍での出場機会は限られたものの、ファームであるイースタンリーグではその打撃力が光りました。1987年にはイースタンリーグで52打点を挙げ、打点王を獲得。続く1988年には、本塁打と打点の二冠王に輝き、ファームでは圧倒的な打棒を見せつけました。

一軍では主に代打や控え捕手としての起用が中心でしたが、この打撃力を買われ、1988年10月には一塁手として、しかも五番打者として4試合に先発出場するという経験もしています。

守備位置の変更とキャリア終盤

1990年には自己最多となる50試合に出場し、打率.250を記録します。この頃、ヤクルトの監督に就任した野村克也氏は「優秀なキャッチャーは一人（古田）いればいい」という方針を打ち出し、飯田哲也氏や秦真司氏など、本来捕手の選手が次々とコンバートされていきました。君波氏もその流れの中で、1991年には外野手や三塁手としても起用されるなど、代打を中心に内外野を兼任するようになります。

君波氏の打撃スタイルは、特に直球に対する強さと長打力が持ち味でした。当時の若松勉氏からは「直球を打たせればクリーンアップ」と評されるほどでしたが、変化球への対応に課題があり、一軍でその長打力を十分に発揮するには至りませんでした。

1992年にはチームのリーグ優勝を経験し、日本シリーズにも代打として2試合に出場しました。キャリア最後の年となった1993年には、登録名を「君波 威嘉（たかよし）」に変更しましたが、同年限りで自由契約となり、現役を引退しました。プロ野球選手としてヤクルト一筋13年間のキャリアを終えました。

プロ通算では、1982年の初出場、同年初安打、1986年の初本塁打などを記録しています。特に1986年6月22日には、札幌円山球場での対広島戦で、代打としてプロ入り初となる本塁打を放ちました。

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