吾妻徳穂 (初代)

吾妻徳穂の生涯と業績

はじめに

吾妻徳穂（あづま とくほ、1909年2月15日 - 1998年4月23日）は、日本の舞踊家であり、吾妻流の宗家としてその名を知られています。彼女は東京で生まれ、芸術の道を歩み、数々の舞台でその才能を発揮しました。

経歴の始まり

吾妻徳穂は、1909年に十五代目市村羽左衛門と舞踊家の藤間政弥の娘として東京に生まれました。彼女の家族は、芸能界に根付いた背景を持ち、育った環境は舞踊家としての彼女の素養を育む重要な要素となりました。

彼女の出生に関する背景には、さまざまな説がありますが、一般的には市村羽左衛門の娘とされています。若い頃から舞踊に親しみ、19歳で坂東鶴之助との恋愛により駆け落ち結婚をするなど、情熱的な一面を見せました。

舞踊家としての活動

1930年には春藤会を結成し、舞踊家としてのキャリアが始まります。1933年には、吾妻流を再興し、家元となることを決意し、吾妻春枝と改名しました。この時期、彼女には二人の男の子が生まれ、家庭と舞踊の両立を図ることになりました。

その後の1939年、内弟子と駆け落ちするという波乱に富んだ人生を送りますが、同年には吾妻流の宗家を継ぐことになり、その地位を確立しました。1942年に再び名前を改名し、吾妻徳穂として知られることになります。

国際的な舞台での活躍

1950年に長男の吾妻徳隆が吾妻流家元となったのを機に、徳穂は宗家としての職務に専念します。1954年から1956年にかけては、アヅマカブキを欧米各地で公演し、その名声を国際的に広めました。彼女は万三哉との離婚後も舞踊活動を続け、1965年には『道成寺三趣』で高い評価を受けることになります。

1968年には、長男に家元の地位を返還し、1978年には次男の孫娘が家元となるなど、家族による伝統の継承が行われました。

受賞歴と影響

吾妻徳穂は、その芸術的な貢献により、1967年に日本芸術院賞を受賞し、1976年には紫綬褒章を授与されるなど、多くの栄誉に輝くこととなりました。1982年には勲四等宝冠章を受章し、1991年には文化功労者に選ばれました。

著作と晩年

また、彼女は自身の経験や考えをもとに著書を多く執筆しており、『世界に踊る』（1957）や『女でござる』（1978）などの自伝的な作品や舞踊に関する本を発表しています。これらの書籍は、彼女の舞踊家としての真摯な姿勢と、時代背景を反映した貴重な資料です。

1998年4月23日、吾妻徳穂は89歳で病気によりこの世を去りました。その人生は、日本の舞踊史に深い足跡を残すものであり、今もなお多くの舞踊家や愛好者に影響を与え続けています。

まとめ

吾妻徳穂は、単なる舞踊家にとどまらず、文化的な発展に寄与した重要な人物です。彼女の作品や業績は、舞踊界だけでなく、広く日本の文化に対して影響を与え続けています。彼女の生涯は、情熱と芸術の追求の象徴として、今後も語り継がれていくでしょう。

もう一度検索