呉伯宗

呉伯宗（ご はくそう）は、元統2年（1334年）に生まれ、洪武17年（1384年）に没した、明初の学者であり官僚です。字（あざな）は伯宗であり、一般にはこの字で知られています。撫州金渓県を本貫とします。

生涯

洪武4年（1371年）、呉伯宗は進士に合格し、明代最初の廷試において首席という輝かしい成績を収め、状元となりました。その才能を高く評価され、礼部員外郎に任じられ、『大明日暦』の編纂に携わりました。当時、権勢を誇っていた胡惟庸は、呉伯宗を自らの勢力に取り込もうとしましたが、呉伯宗はこれを拒否しました。このことが胡惟庸の恨みを買い、洪武8年（1375年）には鳳陽への左遷を余儀なくされました。

しかし、呉伯宗は不当な扱いにも屈せず、時政に関する上奏文を提出しました。その中で彼は、胡惟庸の専横的な振る舞いを厳しく批判し、このような人物が丞相の地位にあることは国にとって大きな災いとなると訴えました。この上奏文が洪武帝の目に留まり、南京に召還され、ベトナム陳朝への使節という重要な役割を担うことになりました。

洪武12年（1379年）、呉伯宗は国子助教に任じられ、皇太子朱標に進講を行うよう命じられました。彼は最初に『大学』の正心誠意の説について講義を行い、皇太子の学問の向上に尽力しました。その後、翰林院典籍に転任しましたが、その才能は多方面で発揮され、洪武帝が10の主題で賦を作るよう命じた際には、筆を執るや否やすぐさま見事な作品を書き上げました。その文章の趣は上品で清らかであり、洪武帝は呉伯宗に金糸を織り込んだ錦の衣を下賜しました。その後、太常司丞に任じられましたが、辞退し、国子司業に転任しましたが、これも辞退しました。この勅命拒否が洪武帝の怒りを買い、金県教諭に左遷されることになりました。

しかし、金県へ赴任する前に再び南京へ召還され、翰林院検討に任じられました。洪武15年（1382年）には、武英殿大学士に進み、洪武帝の命を受けて李翀や馬沙亦黒とともに回回暦書の翻訳という重要な事業に取り組みました。しかし、洪武16年（1383年）の冬、弟である三河知県呉仲実が不実な人物を推薦した罪に連座し、翰林院検討に降格されてしまいました。

呉伯宗は、洪武17年4月乙未（1384年5月18日）、在官のまま51歳でこの世を去りました。彼には子供がおらず、著作として『呉伯宗集』24巻が残されています。

参考文献

* 『明史』巻137 列伝第25

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