状元

状元（じょうげん）とは

状元（じょうげん）とは、中国の科挙制度において、最終試験（唐代では省試、宋代では殿試）で第一位の成績を収めた者に与えられる称号です。鼎元（ていげん）や殿元（でんげん）とも呼ばれます。科挙は、中国の官僚を登用するための試験制度であり、その頂点である状元は、非常に名誉ある地位でした。

歴史

歴史上最初の状元は、唐代の622年（武徳5年）の孫伏伽（そんふくか）とされています。最後の状元は、清代の1904年（光緒30年）の劉春霖（りゅうしゅんりん）です。およそ1300年の間に、552名（遼朝18人、金朝15人、大西国1人、太平天国14人を含む）の状元が誕生しました。また、武挙における第一位は武状元（ぶじょうげん）と呼ばれ、区別されています。

状元の名称は、榜眼（ぼうがん）や探花（たんか）と同様、正式な名称ではなく、慣習的に使われていた名称です。公式に発表される科挙合格者名簿である「金榜（きんぼう）」には、「一甲第一名」と記載されていました。

現代においても、中国や台湾、香港では、大学入試における成績最優秀者を状元と呼ぶことがあります。これは、状元という言葉が、現代中国語でも生きた言葉として使われていることを示しています。

状元にまつわる故事

状元の選考には、単に試験の成績だけでなく、さまざまな要素が考慮されることがありました。以下に、状元にまつわるいくつかの興味深い故事を紹介します。

以名取人（いめいしゅじん）

明の洪武18年（1385年）の殿試前、朱元璋（しゅげんしょう）は夢の中で宮中に巨大な釘があるのを見ました。殿試後の答案採点中に、貢士の中に「丁顕（ていけん）」という名前を見つけ、夢のお告げであると考え、丁顕を状元に選んだと伝えられています。

また、永楽22年（1424年）の殿試では、本来は「日恭（じつきょう）」が状元に内定していましたが、成祖（せいそ）が「日恭」を上下に合わせると「暴」という字になることを不吉と考え、別の「邢寬（けいかん）」が選ばれました。しかし、その「邢寬」も「刑寬」につながるという理由で、状元に選ばれたという話です。

清代の同治年間（1862年-1874年）の殿試では、江蘇省出身の「王国均（おうこくきん）」が内定していましたが、発音が「亡国君」と同音であることから、三甲に落とされました。

光緒31年（1905年）の殿試では、成績が最も優秀だったのは広東省出身の「朱汝珍（しゅじょちん）」でしたが、太平天国の洪秀全（こうしゅうぜん）、戊戌政変の康有為（こうゆうい）と梁啓超（りょうけいちょう）、辛亥革命の孫文（そんぶん）らが皆広東省出身であったことから、広東省出身者は反乱を起こしやすいという俗説が生まれました。また、「珍」という字が妃と同じであったため、これを避け、旱魃に見舞われていた状況から、「霖（りん）」と「粛（しゅく）」の字を好む傾向がありました。最終的に、直隷省粛寧県出身の「劉春霖（りゅうしゅんりん）」が状元に選ばれ、「朱汝珍」は榜眼にとどまりました。

状元紅（じょうげんこう）

紹興には、男子が生まれて3日目に糯米（もちごめ）で紹興酒を造り、1か月後の満月の日（農暦15日）に親戚を集めて祝宴を開く習慣があります。この時、密封・殺菌した甕を父親が埋めるのですが、この酒は将来の出世を願って「状元紅」と呼ばれていました。

その他

清代乾隆26年（1761年）の殿試では、本来は「趙翼（ちょうよく）」が状元になるはずでしたが、「王傑（おうけつ）」の出身地が災害に見舞われていたため、特別に恩科として状元が授けられました。これにより趙翼は探花に終わったため、官僚になることを諦め、歴史研究に生涯を捧げることになったという逸話も残っています。

科挙の関連用語

榜眼（ぼうがん）: 殿試第二位
探花（たんか）: 殿試第三位
解元（かいげん）: 郷試第一位
会元（かいげん）: 会試第一位
圧巻（あっかん）:
秀才（しゅうさい）: 科挙における合格者の一種。茂才（もさい）ともいう

もう一度検索