呉広 (明)

明代の武将、呉広の生涯と戦績

呉広（ご こう、生年不詳 - 1601年）は、明代に活躍した軍人です。広東省を本貫とし、その生涯を戦場に捧げました。

若き日の武勲

武生として軍に入った呉広は、数々の戦でその武勇を発揮し、目覚ましい戦功を重ねました。その功績が認められ、福建南路参将に任命されます。しかし、不運にも事件に連座し、一時的に職を罷免され、故郷へと帰ることになります。

反乱鎮圧への再起

万暦23年（1595年）、岑渓の瑤族が反乱を起こすと、呉広はその才能を再び見出されます。総督の陳大科に召し出され、総兵の童元鎮に従って反乱軍討伐に参加しました。戦の最中、味方の兵が一時的に後退した際、呉広は自ら一兵士を斬り、その首を晒すことで、軍の士気を高めました。この行動が功を奏し、反乱軍を打ち破ることに成功。その功績により、元の官位に復帰を果たしました。

朝鮮での戦い

万暦25年（1597年）、呉広は副総兵として劉綎に従い、朝鮮へと渡ります。日本軍の侵攻を防ぐため、水軍を率いて陳璘と協力し、多くの敵兵を捕獲・斬首しました。この戦いでも呉広の武勇は遺憾なく発揮され、その名を轟かせました。

播州の乱での活躍

万暦28年（1600年）2月、播州で楊応龍が反乱を起こすと、呉広はその鎮圧のために総兵官に抜擢され、一軍を率いて合江に進出します。副将の曹希彬の軍を統制下におき、二郎壩に駐屯。現地の勢力を味方につけながら、反乱軍の驍将である郭通緒を破りました。呉広は、投降した土官や漢人の中から選抜した精鋭部隊を率い、穿崖囤を攻略するなど、各地で目覚ましい戦果を挙げました。

劉綎と馬孔英がすでに播州に入っても、呉広は二郎壩に留まっていましたが、李化龍の命令でついに播州へと進軍します。崖門攻略にあたっては、4つの哨に分かれて進撃する作戦を立て、さらに少数民族の兵2000を率いる奢世続を派遣し、糧道への攻撃を防ぐなど、入念な準備を行いました。

呉広麾下の軍勢は連戦連勝で進軍し、母猪塘に設営。楊応龍は郭通緒に命じて関外の兵を動員させましたが、呉広は磨槍埡での奇襲作戦によって、これを撃破。敵兵は次々と降伏し、呉広の軍はついに崖門へと迫りました。崖門の戦いでは、曹希彬の活躍もあり、第四関を占領。第一関の攻略では、夜間の奇襲によって敵の防衛を崩壊させました。

乱の終結と呉広の最期

呉広は、水牛塘での戦いで、楊応龍の偽降作戦を見破り、敵の襲撃を退けました。諸道の軍と共に海龍囤に迫り、楊応龍が自害したとの虚報が流れると、これを信じてしまいます。しかし、すぐに虚報と気づき、第二関を焼き討ちし、三山を奪って反乱軍の糧道を断ちました。そして、陳璘と共に背後から海龍囤に攻め上り、ついに楊応龍を自害に追い込み、その子を捕らえることに成功しました。

この戦いで、呉広は毒矢を受けますが、奇跡的に蘇生します。しかし、播州での賄賂疑惑が持ち上がり、免官となってしまいます。万暦29年（1601年）、呉広は息を引き取りましたが、その武勲が認められ、死後、四川総兵の官位が戻され、都督同知の位が追贈されました。さらに、子孫には千戸の官位が与えられました。

呉広の功績

呉広は、その卓越した戦術と不屈の精神で、数々の戦を勝利に導いた名将でした。特に播州の乱での活躍は、その武勇と知略を余すところなく示しており、明朝の安定に大きく貢献しました。彼の功績は、後世に語り継がれるべきものです。

参考文献

『明史』巻247 列伝第135

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