馬孔英

馬孔英：明代の軍人、その栄光と挫折

馬孔英（生没年不詳）は、明代に活躍した軍人です。彼の出自は宣府塞外の降伏者であり、その後の人生は、数々の戦功と、晩年の失脚という波乱に満ちたものでした。

戦功を重ね、寧夏副総兵へ

馬孔英は、その勇敢さと軍事的な才能を発揮し、着実に昇進を重ねました。彼は寧夏参将に任命され、1592年（万暦20年）に勃発した哱拝の乱では、反乱軍に対して果敢に戦い、その勢力を打ち破ることに貢献しました。さらに、ボショクト・ジノンが下馬関に侵入した際には、麻貴に従いこれを迎撃し、大勝を収めました。これらの功績が認められ、彼は寧夏副総兵に昇進しました。

1596年（万暦24年）には、著力兎と宰僧が平虜・横城を侵犯した際、参将の鄧鳳と共に奮戦し、270人以上を討ち取るという目覚ましい戦果を挙げ、朝廷から金幣を賜りました。その後の寧夏総兵官の欠員に伴い、馬孔英は署都督僉事に抜擢され、総兵官としてその職務にあたることとなりました。その後、正式に総兵官に任命され、その地位を確立しました。

1599年（万暦27年）には、著力兎と宰僧が再び平虜・興武を侵犯すると、馬孔英は杜桐らと共に別れて敵を攻撃し、これを撃破。その後も、彼らが再度侵入を試みると、再びこれを打ち破りました。これらの戦いを通じて、馬孔英は卓越した軍事的能力を示し、明朝の北辺防衛に大きく貢献しました。

楊応龍の乱での活躍と転落

1600年（万暦28年）には、総督李化龍が楊応龍の乱を鎮圧するために軍を発動し、馬孔英は陝西4鎮の兵を率いて南川から進軍しました。南川道は険しく行軍は困難を極めましたが、重慶推官の高折枝らの活躍もあり、反乱軍を次々と撃破しました。

馬孔英軍は、数々の激戦を経て桑木関を奪取。さらに、官軍は九杵・黒水の諸関や苦竹・羊崖・銅鼓の諸寨を連破し、反乱軍を追い詰めていきました。その後、反乱軍は海龍囤に立て籠もりますが、馬孔英は他の将軍たちが後方から攻めようとする中で、単独で壁関の前面に当たり、その功績が認められ都督同知の位に進みました。

しかし、彼の武勇伝はここで終わりませんでした。しばらくして、馬孔英は総兵官として貴州に駐屯することになりました。彼は金筑・定番の苗族の反乱を鎮圧し、その首長たちを捕らえることに成功しました。しかし、その後、黄柏山の苗族を襲撃しようとした際、苗族に先手を打たれて敗北したにも関わらず、この事実を隠蔽しました。さらに、苗族の首長である石阿四を誘い出して捕らえた際、戦場で捕らえたかのように偽って報告しました。これらの不正行為が巡撫の胡桂芳によって弾劾され、馬孔英は罷免され、その生涯を終えました。

まとめ

馬孔英は、その卓越した軍事的能力によって、明朝の防衛に大きく貢献した軍人でした。しかし、晩年には自身の不正行為によって失脚し、その輝かしいキャリアに泥を塗る結果となりました。彼の人生は、栄光と挫折、そして人間の欲深さという、歴史の複雑な側面を映し出していると言えるでしょう。

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