呉服元町

佐賀市呉服元町：歴史と文化が息づく街

呉服元町は、佐賀県佐賀市の中心部に位置する町名です。江戸時代には佐賀城下町として、長崎街道が通る要衝でした。近世以降も中心市街地の商店通りとして賑わいを見せており、呉服町名店街、元町商店街、中央マーケットの3つの商店街が所在します。

歴史

呉服元町の歴史は、佐賀城の築城とともに始まりました。1602年（慶長7年）から始まった佐賀城の建設に伴い、城下町が整備され、呉服町や元町もその一部として発展しました。

江戸時代、呉服町は長崎街道の宿場町として栄えました。1759年（宝暦9年）の記録には馬次所が、1812年（文化9年）の伊能忠敬の測量日記には問屋場が呉服町にあったことが記されています。1800年（寛政12年）には長崎奉行の宿舎である本陣が設けられましたが、警備上の都合から馬次所と問屋場は隣の元町に移されました。

また、呉服元町には願正寺という浄土真宗の寺院があります。1600年（慶長5年）に建立されたこの寺は、佐賀藩内の浄土真宗寺院の触頭として、多くの参詣者を集めました。参詣者は呉服を買い求めに立ち寄る人も多く、呉服町の発展に影響を与えました。

地理

呉服元町は、国道264号東いちょう通りから数百メートル北、県道30号大財通りの西側沿道に位置し、裏十間川と十間堀川の間に広がっています。北は大財1丁目、東は高木町と柳町、南は松原2丁目・3丁目、西は中央本町と白山2丁目に隣接しています。

全域が都市計画法に基づく佐賀都市計画区域の市街化区域・商業地域に指定されており、建ぺい率80%、容積率400%の制限があります。

産業

2014年時点で、呉服元町には約100の事業所があります。産業構成を見ると、卸売業・小売業が事業所数・従業者数ともに半数近くを占め、次いで宿泊業・飲食サービス業、その他のサービス業が多いです。古くからの商業の伝統が、現代にも受け継がれていることが分かります。

近現代

明治時代以降、呉服町は佐賀市の商業中心地として発展しました。1896年（明治29年）には佐賀貯蓄銀行が設立され、呉服町に本店を構えました。また、1909年（明治42年）には不動貯金銀行、1917年（大正6年）には肥前銀行が呉服町に支店を開設し、金融機関が集積しました。

1920年（大正9年）には佐賀市初の大型商店「丸木屋呉服店」が開店しましたが、1927年（昭和2年）に閉店。跡地には1933年（昭和8年）に玉屋が進出し、百貨店「佐賀玉屋」として開業しました。佐賀玉屋は1965年（昭和40年）に中央大通りに移転するまで、佐賀市随一の大型店として親しまれました。

しかし、1960年代後半から佐賀市中心市街地では大型店の出店が相次ぎ、呉服元町もその影響を受けました。1970年代には衣料品店やスーパーが開業しましたが、1980年代以降は郊外への店舗の拡散が進み、中心市街地の空洞化が進みました。

呉服元町では、1999年（平成11年）に南里本店が閉店、寿屋佐賀店が撤退するなど、厳しい状況が続きました。2004年（平成16年）には元町商店街協同組合、2008年（平成20年）には呉服町名店街協同組合が解散し、2009年（平成21年）には呉服町のアーケードが撤去されました。

このような状況を打開するため、2010年には住民と商店主らにより「街なか再生会議」が発足し、活性化策が検討されました。空き店舗の利用やコンテナ型のチャレンジショップの提供などの施策が実施され、呉服町の空き店舗率は2010年から2016年にかけて低下しました。

現在

現在、呉服元町は、歴史的な街並みを残しつつ、新たな魅力を持った商店街として再生を目指しています。佐賀県国保会館の誘致や、まちづくりNPOによる活性化策の実施など、様々な取り組みが行われています。

また、呉服元町には、旧佐賀銀行呉服町支店や願正寺など、歴史的な建造物も残っています。これらの建造物は、呉服元町の歴史を物語る貴重な財産です。

呉服元町は、佐賀市の中心部に位置し、交通の便も良いことから、観光客にとっても訪れやすい場所です。歴史と文化が息づく呉服元町を訪れて、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

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