周堪

周堪（しゅう かん）

周堪（生没年不詳）は、前漢時代の人物で、字は少卿といい、斉郡の出身です。儒学者として知られ、元帝の時代に重要な役割を果たしましたが、政治的な対立に巻き込まれました。

略歴

周堪は、当時著名な儒学者であった夏侯勝に師事し、『書経』を学びました。その後、訳官令という官職に就き、石渠閣での重要な議論にも参加しました。この議論は、儒教の経典解釈や政治に関するもので、当時の知識人たちが集まって意見を交わしました。周堪は、その学識の高さから太子少傅に任命され、皇太子であった後の元帝に学問を教える立場となりました。元帝は周堪を深く尊敬し、彼の教えを重視しました（『漢書』儒林伝）。

黄龍元年（紀元前49年）、宣帝が崩御する際、周堪は外戚の史高、太子太傅の蕭望之と共に禁中に呼ばれました。これは、宣帝が後事を託す重臣たちを選んだことを意味します。史高は大司馬車騎将軍、蕭望之は前将軍光禄勲、そして周堪は光禄大夫に任命され、領尚書事として元帝を補佐するように命じられました。元帝は蕭望之と周堪を非常に尊重し、彼らの助言を仰ぎました。二人は古代の理想的な政治を元帝に説き、劉更生（劉向）らを登用するなど、政治改革を進めようとしました。しかし、宣帝の時代から権勢を振るっていた中書宦官の弘恭・石顕や、外戚の史高との対立が避けられませんでした。弘恭と石顕は、周堪らの改革を快く思わず、彼らを陥れようと画策しました。初元2年（紀元前47年）、蕭望之は失脚し、自殺に追い込まれ、周堪もまた罷免されるという憂き目に遭いました（『漢書』蕭望之伝）。

初元3年（紀元前46年）、元帝は蕭望之を死なせてしまったことを後悔し、周堪を光禄勲に抜擢しました。さらに、周堪の弟子であった張猛を光禄大夫給事中に任命し、二人を重用しました。しかし、弘恭と石顕は依然として周堪と張猛を警戒し、讒言によって周堪を河東太守、張猛を槐里県令へと左遷させました（『漢書』劉向伝）。

永光4年（紀元前40年）、元帝は再び周堪らを召し出し、周堪を領尚書事、張猛を給事中としましたが、周堪は病に倒れ、言葉を発することができなくなってしまいました。また、張猛は石顕の讒言により自殺に追い込まれました（『漢書』五行志上）。

建昭2年（紀元前37年）、『易経』の大家であった京房が新たな官僚評価法を上奏した際、当時光禄大夫であった周堪は当初反対していましたが、後に賛成に転じました（『漢書』京房伝）。

周堪は、学識豊かで元帝からの信頼も厚かったものの、宮廷内の権力闘争に巻き込まれ、その才能を十分に発揮することができませんでした。彼の生涯は、政治の不安定さと、それに翻弄される人々の姿を物語っています。

参考文献

班固著『漢書』巻9元帝紀
班固著『漢書』巻19下百官公卿表下
班固著『漢書』巻27上五行志上
班固著『漢書』巻36劉向伝
班固著『漢書』巻75京房伝
班固著『漢書』巻78蕭望之伝
* 班固著『漢書』巻88儒林伝

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