周起元

周起元（しゅう きげん、1571年 - 1626年）は、明代末期の官僚で、字は仲先、号は綿貞と称しました。本貫は漳州府海澄県にあります。

官僚としての道のり

1600年（万暦28年）に郷試で首席となり解元となった後、翌年には進士に及第しました。彼は浮梁知県、南昌知県を歴任し、その優れた政治手腕と善政で名を馳せました。1611年（万暦39年）には、その功績を認められて北京に召還され、湖広道御史に内定しましたが、京察（官僚の考査）のために待機を余儀なくされました。

東林党との関わり

この時期、御史の劉国縉が、鄭継芳が捏造した怪文書を周起元ら5人の仕業であると疑い、彼らを東林党の「五鬼」と非難しました。周起元はこれに反発し、上疏して自らの潔白を主張しました。その後、2年の待機期間を経て、ようやく御史に任命されました。

太僕寺少卿の徐兆魁が東林党を攻撃すると、周起元も上疏してこれを弾劾しました。また、劉世学が顧憲成を誹謗する上疏を行うと、周起元はこれに反論し、その誤りを指摘しました。劉世学の従孫である劉藎臣が周起元を告発すると、周起元は再び反論の上疏を行い、同僚たちもこれに同調しました。劉世学は逮捕命令を受け逃亡しました。1613年（万暦41年）に方従哲が吏部左侍郎に起用されると、周起元はこれに強く反対し、他の官僚たちを批判しました。さらに、吏部尚書の趙煥が権力を乱用していると弾劾し、罪に問われ俸給を停止されました。1614年（万暦42年）に鄭継之が吏部尚書になると、周起元は再び上疏して官僚の人事を批判し、張光房らの不正を主張しました。

地方官としての活躍

その後、周起元は陝西巡按を任じられましたが、東林党追放の煽りを受け、広西参議として左遷され、右江道を分守しました。柳州で飢饉や反乱が多発すると、周起元は単身で反乱者を説得し、飢民に食糧を配給しました。その後、四川副使に転じました。1621年（天啓元年）には、後金の侵攻により遼陽が陥落したため、通州に監司が設置されることになり、周起元は通州参政に任じられました。

晩年と悲劇的な最期

1623年（天啓3年）、周起元は入朝して太僕寺少卿となり、その後、右僉都御史に抜擢され、蘇松十府巡撫を任されました。江南で洪水が発生すると、周起元は各地を巡回して救済活動に尽力しました。織造中官の李実が不正な収奪を行っていたため、蘇州府同知の楊姜がこれを阻止しました。李実は楊姜を弾劾しましたが、周起元は楊姜を擁護し、李実の不正を批判しました。魏忠賢は李実をかばい、周起元を責め立てましたが、周起元は屈せず、李実の貪婪さを告発し、楊姜の赦免を求めました。魏忠賢は激怒し、周起元を官籍から外し、朱童蒙を要職に抜擢しました。

1626年（天啓6年）2月、周起元は魏忠賢の意を受けた閹党の李永貞らによって誣告され、巡撫時代に官庫の金を横領したとして逮捕投獄されました。錦衣衛の許顕純による拷問を受け、同年9月に獄中で亡くなりました。享年56歳でした。

死後の名誉回復

1628年（崇禎元年）に兵部右侍郎の位を追贈され、南[[明]]の福王政権の時代には、忠恵と追諡されました。周起元の生涯は、明末の政治腐敗と闘った官僚の象徴として、後世に語り継がれています。

参考文献

『明史』巻245 列伝第133

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