呪われた狩人

『呪われた狩人』（のろわれたかりうど、Le Chasseur maudit）FWV 44は、セザール・フランクが1882年に作曲した管弦楽のための交響詩です。フランクは生涯に5曲の交響詩を作曲しましたが、この作品は彼の最晩年にあたる1882年に完成し、翌1883年3月31日に国民音楽協会で初演されました。

この作品は、18世紀のドイツの詩人ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーによるバラードを題材としています。物語は、教会でのミサを無視して狩りに出かけた伯爵が、その行為によって永遠の罪を背負うという、道徳的な教訓を含んだ内容です。フランクはこの物語を音楽で表現するために、多彩なオーケストレーションと、劇的な展開を用いています。

楽曲は、冒頭のホルンによる印象的な導入で幕を開けます。その後、聖歌を思わせる荘厳な主題が現れ、物語の宗教的な背景を示唆します。やがて、狩りの角笛を連想させる躍動的な主題が導入され、音楽は狂騒的な展開を見せ始めます。この対比が、物語のドラマティックな展開を際立たせています。フランクの音楽は、登場人物の心理描写や情景描写において、非常に効果的に機能しています。

約15分の演奏時間の中で、音楽は静寂から狂騒へとダイナミックに変化し、聴衆を物語の世界へと引き込みます。フランクは、この作品において、単なる物語の描写に留まらず、人間の罪と罰、そして救済といった深遠なテーマを、音楽を通して表現しようと試みています。

編成

『呪われた狩人』は、以下のような楽器編成で演奏されます。

木管楽器:
ピッコロ
フルート2
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット4
金管楽器:
ホルン4
トランペット2
コルネット2
トロンボーン3
チューバ
打楽器:
ティンパニ3
鐘3
トライアングル
シンバル
バスドラム
弦楽器:
弦五部

この編成からもわかるように、フランクは多様な楽器を駆使し、豊かな響きと色彩感を生み出しています。特に、金管楽器の活躍は、狩りの場面やクライマックスにおける劇的な効果を強調する上で、重要な役割を果たしています。

参考文献

『最新名曲解説全集4 管弦楽I』（音楽之友社）

外部リンク

交響詩『呪われた狩人』FWV 44の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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