呼出音

呼出音（リングバックトーン）とは

呼出音（よびだしおん）またはリングバックトーン（ringback tone, RBT）とは、電話をかけた際に、相手を呼び出していることを知らせるために、電話交換機から発信者側に送られる音のことです。

呼出音の役割

呼出音は、電話をかけている相手が応答可能かどうかを発信者に知らせる役割を果たします。呼出音が鳴っているということは、着信側の電話機が着信音を鳴らしていることを示唆しますが、両者が完全に同期しているわけではありません。

呼出音の生成方法

アナログ回線時代には、呼出音は着信側の電話交換機で生成され、発信側の電話機に送られていました。このため、発信者は呼出音の音質から回線の品質をある程度判断できました。

現在では、共通線信号No.7などの技術により、信号の制御は帯域外で行われます。この場合、着信側の電話交換機から発信側の電話交換機へ「呼び出し中」という信号が送られ、発信側の電話交換機で呼出音が生成されるのが一般的です。

ただし、メロディコールのように、着信側が独自に設定した呼出音を使用する場合は、着信側の電話交換機で生成された呼出音がそのまま発信側へ送られます。

国による違い

呼出音は、国によって音のパターンや周波数が異なります。国際電話をかけると、相手先の国の呼出音を耳にすることができます。

イギリス・アイルランド・イギリス連邦

イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなど、イギリス連邦に属する多くの国では、0.4秒オン、0.2秒オフの繰り返しで、400Hzと450Hzの正弦波を重ねた音が使用されています。

韓国・北アメリカ

北アメリカでは、2秒オン、4秒オフの繰り返しで、440Hzと480Hzの音を重ねたものが標準的な呼出音です。韓国では、北アメリカと同様のトーンを使用していますが、1秒オン、2秒オフの繰り返しとなっています。

ヨーロッパ

多くのヨーロッパの国では、欧州電気通信標準化機構（ETSI）の勧告に従ったトーンを使用しています。多くは425Hzで、一般的なパターンは1秒オン、3 - 5秒オフの繰り返しです。

日本

日本では、呼出音は1秒オン、2秒オフの繰り返しで、400Hzに15 - 20Hzの変調をかけることが、事業用電気通信設備規則（昭和60年郵政省令第30号）第33条で定められています。ただし、規則制定以前の呼出音は、現在よりもやや音程が高めでした。

一部の通信事業者は、通常の呼出音の前に、識別音やガイダンストーキーを送出しています。例えば、ソフトバンクでは、着信側の携帯電話・IP電話回線が自社の無料通話サービスの対象であることを識別できるように、ソフトバンク呼び出し音やワイモバイル呼び出し音（旧：EMOBILE呼び出し・ウィルコム呼び出し音）を識別音として送出しています。KDDIでは、au携帯電話端末のページング中の無音を避けるために識別音を付加しています。また、NTTコミュニケーションズのIP電話050plusでは、着信側の回線がIP電話であることを識別できるように、「050plusへお繋ぎします」というガイダンストーキーが送出されます。

日本の呼出音の例では、通常の呼出音の前に識別音が入っています。

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