命燃えて

『命燃えて』

『命燃えて』（いのちもえて）は、1997年9月29日から同年11月28日にかけて、MBS（毎日放送）制作によりTBS系列の帯ドラマ枠「ドラマ30」枠（月曜日から金曜日の13時30分から14時00分、日本標準時）で放送された昼のテレビドラマシリーズである。全9週にわたり、合計45回が放送された。同枠で展開された「命シリーズ」の第5弾として位置づけられている。

作品背景と概要

本作は、千葉県柏市に住んでいた少年、西田英史さんが脳腫瘍と闘い、18歳という若さでこの世を去る直前に自ら筆を執った闘病記『ではまた明日』（ISBN 978-4-7942-0594-0、情報センター出版局刊）を原案としている。重篤な病に冒されながらも、希望を失わず、残された命を精一杯生きようとする少年の姿と、彼を支え、共に苦悩し、深く愛する家族の姿を描いた、感動的な人間ドラマである。

そのリアリティと感動的な内容は高く評価され、日本民間放送連盟賞の優秀賞、そして第35回ギャラクシー賞の奨励賞を受賞するなど、多くのメディア賞を獲得した。本放送終了後、1998年1月15日には、内容を再構成した『命燃えて 総集編』が特別番組として放送されている。

あらすじ

物語は、京都大学への進学を目前に控えた、17歳の高校生、西岡英史の日常から始まる。成績優秀で、将来は科学者になることを夢見る英史は、父・裕也、母・槙子、妹・亮子と共に、ごく普通の幸せな家庭を築いていた。

しかし、体育の授業中に突然のめまいに襲われたことをきっかけに、英史の体に異変が生じる。入試が迫っていたため、英史は体調の異常を押し隠し、無理を続けてしまう。だが症状は悪化の一途をたどり、平衡感覚までも失うようになった英史は、ついに大学病院で精密検査を受けることとなる。

検査の結果、主治医から衝撃的な事実が告げられる。息子・英史が進行性の脳腫瘍に冒されており、治療は困難で、余命は一年ほどであるという、あまりにも残酷な宣告を父・裕也は聞かされる。この過酷な現実に直面した西岡家は、深い悲しみと絶望に沈む。

しかし、英史は運命に抗うことを決意する。病に打ち勝つことを誓い、残された時間を精一杯生きようと前向きな姿勢を見せる。物語は、病状の進行に伴う身体的な苦痛や精神的な葛藤、友人や周囲との関係の変化に苦悩しながらも、ひたむきに生きる英史と、彼を献身的に支え、共に苦難を乗り越えようとする家族の深い絆を描いていく。少年と家族の愛と葛藤が、視聴者の心を強く揺さぶる。

キャスト

西岡槙子：市毛良枝 - 主人公・英史の母
西岡裕也：篠田三郎 - 主人公・英史の父
西岡英史：辻内将人 - 物語の主人公。脳腫瘍を宣告される高校生。新人として難役に挑んだ。
西岡亮子：尾後あすか - 主人公・英史の妹
吉井和世：高田敏江
円城寺あや
塩沢とき
横田：芝本正
昴：福田賢二
舞：今井里奈
八木：大竹修造

スタッフ

原案：西田英史『ではまた明日』
脚本：宮内婦貴子
演出：青井邦臣、芝野昌之、皆元洋之助
プロデューサー：伊東雄三、藪内広之

主題歌

『晩秋』
作詞・作曲・歌：河島英五
編曲：若草恵
河島英五の温かくも切ない歌声が、物語の世界観を深く彩った。

受賞歴

日本民間放送連盟賞 優秀賞
第35回ギャラクシー賞 奨励賞

（出典: テレビドラマデータベースなどを基に作成）

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