和帝 (南朝斉)

和帝（わてい）

和帝（わてい）は、南朝斉の第7代にして最後の皇帝です。明帝蕭鸞の八男として、その短い生涯を終えました。

生涯

永明6年（488年）、西昌侯蕭鸞と劉恵端のあいだに生まれました。建武元年（494年）には、隨郡王に封じられています。建武3年（496年）には冠軍将軍・領石頭戍事となりました。

永元元年（499年）、南康王に改封され、西中郎将・荊州刺史に任じられて江陵に駐屯します。当時、和帝の同母兄である東昏侯蕭宝巻が帝位にありましたが、重臣を殺害し、ほしいままに振る舞っていたため、人々の心は離れていました。永元2年（500年）11月、荊州長史の蕭穎冑は、蕭宝融の同族である雍州刺史の蕭衍を盟主とする東昏侯打倒の兵を挙げようと計画し、蕭宝融に迫って蕭衍を左将軍に、蕭穎冑を右将軍に任じさせました。12月、宣徳太后の令により、蕭宝融は宣城王・相国・荊州牧を称しました。永元3年（501年）2月、蕭衍が襄陽を出立し、東征の途につきます。

同年（中興元年）3月、蕭宝融は江陵で帝位に即きました。蕭穎冑を尚書令に、晋安王蕭宝義を司空に、廬陵王蕭宝源を車騎将軍に、建安王蕭宝寅を徐州刺史に、夏侯詳を中領軍に、蕭偉を雍州刺史に任じました。兄の東昏侯は依然として建康で皇帝を称していましたが、涪陵王に貶められました。12月、東昏侯が殺害され、蕭衍率いる東征軍が建康城を平定すると、蕭衍は宣徳太后の令により大司馬・揚州刺史の任につきました。

中興2年（502年）1月、和帝は蕭衍を相国・総百揆・揚州牧に任じ、梁公に封じました。3月には、蕭衍を梁王に進めます。これにより、蕭衍による簒奪の準備が整いました。

同年（天監元年）4月、和帝による禅譲の詔が蕭衍のもとに届けられ、蕭衍が皇帝に即位し（武帝）、南朝梁が建国されました。蕭宝融は武帝により巴陵王に封じられ、姑孰に宮を構えましたが、武帝は側近の沈約から「上辺だけの美名を求めて、現実の憂いを招いてはならない」との忠言を受け、部下の鄭伯禽を派遣し、生金を以て自殺するよう命じました。巴陵王は「黄金など用いずとも、醇酒があれば自裁するには足りる」と述べ、一升の酒を仰いだあと、鄭伯禽によって絞め殺されたと伝えられています。

和帝は、その短い治世の中で、簒奪の影に怯えながら生きた悲劇の皇帝と言えるでしょう。

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