和意谷池田家墓所

和意谷敦土山池田家墓所

和意谷敦土山池田家墓所は、岡山県備前市吉永町に位置する、岡山藩主池田宗家一族の墓所です。この墓所は「岡山藩主池田家墓所」の一つとして、国の史跡に指定されています。また、墓所を含む和意谷一帯は吉井川中流県立自然公園に指定されており、豊かな自然に囲まれた場所にあります。

経緯

墓所が建設されるきっかけは、岡山藩池田宗家初代藩主である池田光政の祖父・輝政と父・利隆の墓所があった京都妙心寺護国院の火災でした。この火災により、光政は祖父と父の改葬を決意します。

寛文5年（1665年）、光政は家臣の津田永忠に備前国内での墓所選定を命じました。津田永忠は1年余りの探索の後、和気郡脇谷村を最終候補地に選定しました。寛文6年（1666年）10月、光政自らが実地検分を行い、この地を墓所とすることを決定。同年12月には妙心寺に改葬を告げ、遺骨を備前に持ち帰りました。

寛文7年（1667年）正月7日より墓地の造営が開始され、閏2月13日には儒式の儀礼に則り、輝政・利隆の改葬が執り行われました。その後、この地は和意谷敦土山と名付けられました。江戸城空堀普請の手伝いのため工事は一時中断されましたが、寛文9年（1669年）に墓域の工事が完了。同年3月16日には光政が参拝し、墓祭が執り行われました。以後、毎年3月に墓祭が行われ、藩主および池田家一族の参拝が続けられました。貞享元年（1684年）には和意谷新田村が設けられ、53石3斗1升5合の年貢米により永代管理が行われるようになりました。

構成

和意谷の墓所は、敦土山山上に点在しており、池田輝政の墓所である「一のお山」を中心に、7つの「お山」で構成されています。墓所は全て儒教式で統一されています。麓の駐車場から鳥居をくぐり、約2,000個の列石が敷かれた参道を約1km登った場所に位置しています。

各お山の概要

一のお山：池田輝政の墓所。墓石は亀趺と呼ばれる亀形の台石の上に設置されています。亀趺は天禄辟邪という古代中国の架空の動物を模しており、三品以上の地位の人物の墓に用いられていました。
墓碑：参議正三位源輝政卿之墓、脇碑：贈従二位
二のお山：池田利隆とその正室鶴姫の墓所。
利隆墓碑：従四位下侍従兼武蔵守源利隆朝臣之墓
鶴姫墓碑：侍従兼武蔵守源朝臣室家榊原氏之墓
三のお山：池田光政とその正室勝姫の墓所。
光政墓碑：従四位下之左近衛権少将源光政朝臣之墓、脇碑：贈正三位
勝姫墓碑：左近衛権少将源朝臣室家藤原氏之墓
四のお山：池田慶政（8代藩主）とその正室宇多子の墓所。2代藩主綱政から7代斉敏までは曹源寺に埋葬されていましたが、慶政・茂政の2代はここに埋葬されています。
慶政墓碑：従二位池田慶政公之墓
宇多子墓碑：従四位源慶政朝臣夫人池田氏之墓
五のお山：池田茂政（9代藩主）とその正室萬寿子の墓所。
茂政墓碑：麝香間祗候従一位勲二等池田茂政公之墓
萬寿子墓碑：少将兼武蔵守源朝臣室家池田氏之墓
六のお山：池田輝興（赤穂藩2代藩主）、池田輝尹、池田政実、池田鋭子、池田恒元（山崎藩初代藩主）の墓が並び、少し離れて池田政元（山崎藩2代藩主）の墓があります。
輝興墓碑：従四位下右近大夫源輝興朝臣之墓
輝尹墓碑：池田新八郎輝尹之墓
政実墓碑：池田鼎五郒政實之墓
鋭子墓碑：池田氏庶女鋭子之墓
恒元墓碑：従五位下備後守源恒元之墓
政元墓碑：従五位下豊前権守源朝臣政元之墓
七のお山：六のお山から600mほど北東に離れた場所にあります。池田利政（利隆の弟・播磨時代の船上城代）、池田政虎（利隆の弟）、池田政貞（光政の弟）、六姫（光政の娘）の墓があります。
利政墓碑：池田利政之墓
政虎墓碑：池田政乕之墓
政貞墓碑：池田政貞之墓
六姫墓碑：池田氏六之墓

アクセス

山陽自動車道備前I.C.から北へ約15分、駐車場より徒歩約35分

参考文献

岡山県高等学校教育研究会社会科部会歴史分科会/編 『新版 岡山県の歴史散歩』 山川出版社 1991年 62ページ
現地説明板

関連項目

曹源寺 (岡山市)
岡山藩主池田家墓所

外部リンク

国指定文化財等データベース

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