和歌山下津港

和歌山下津港：国際拠点港湾としての役割と歴史

和歌山下津港は、和歌山県和歌山市、海南市、有田市の3市にまたがる広大な港湾です。和歌山県が管理するこの港湾は、国際拠点港湾（旧特定重要港湾）および特定港に指定されており、防災拠点港としての役割も担っています。田倉崎と地ノ島、宮崎ノ鼻を結ぶ線より東側が港湾区域となっており、紀ノ川、有田川の下流域も含まれます。

多様な機能を併せ持つ港湾

和歌山下津港は、単なる物流拠点にとどまらず、多様な機能を有しています。特に、和歌山本港区はコンテナ貨物の取扱いを担い、その約半分はアメリカや東南アジアからタンカーで運ばれる花王和歌山工場向けの動物油や植物油などの原料です。このことは、和歌山下津港が国際的なサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしていることを示しています。

また、和歌山本港区には、徳島小松島港とを結ぶ南海フェリーの和歌山港のりばがあり、南海和歌山港線和歌山港駅と連絡通路で直結しています。このアクセス性の高さは、物流効率の向上に大きく貢献しています。

和歌浦・海南港区は、和歌山マリーナシティや日本製鉄関西製鉄所和歌山地区（海南）、ENEOS和歌山石油精製など、様々な企業が立地するエリアです。観光面では、2015年にみなとオアシスに登録され、「みなとオアシス和歌山」として、観光・交流拠点としての役割も担っています。和歌の浦アート・キューブがその中心施設となっています。

下津港区は歴史的な背景も持ち合わせています。紀伊國屋文左衛門が江戸に蜜柑を運んだという説もあり、古くから貿易の中心地として栄えていました。現在も、コスモ石油ルブリカンツ株式会社下津工場や高田機工などが立地し、産業活動を支えています。

有田港区には、ENEOS和歌山製造所が立地しており、石油化学工業の中心地としての役割を果たしています。

歴史を刻む港湾

和歌山下津港の歴史は古く、1948年に現在の和歌山北港区から下津港区までが開港しました。1951年には重要港湾に、1965年には特定重要港湾（現国際拠点港湾）に昇格し、その重要性は着実に高まっていきました。しかし、1965年には台風によりタンカーが沈没する事故も発生しており、その歴史は順風満帆ではなかったことも伺えます。1964年には有田港区が編入され、現在の規模となりました。

各港区の機能と特徴

それぞれの港区には、独自の機能と歴史が刻まれています。

和歌山北港区: 紀ノ川右岸に位置し、日本製鉄関西製鉄所和歌山地区が立地しています。鉄鋼業の中心地としての役割を担っています。
和歌山本港区: 紀ノ川左岸に位置し、古くは木材港として栄え、現在は花王和歌山工場が立地するコンテナ取扱いの拠点となっています。
和歌浦・海南港区: 和歌山マリーナシティ、日本製鉄関西製鉄所和歌山地区（海南）、ENEOS和歌山石油精製など、多様な企業が立地するエリアです。観光拠点としての役割も担っています。
下津港区: 歴史的に重要な港湾であり、現在は化学工業関連の企業が立地しています。
* 有田港区: ENEOS和歌山製造所が立地する石油化学工業の中心地です。


和歌山下津港は、国際貿易、観光、産業と、多様な機能を統合した、和歌山県にとってなくてはならない重要な港湾なのです。

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