和歌山信愛短期大学

和歌山信愛短期大学（わかやましんあいたんきだいがく）は、和歌山県和歌山市に所在する私立の短期大学です。カトリック系の教育機関であり、学校法人和歌山信愛女学院によって運営されています。地域においては、現在唯一の短期大学としての役割を担ってきましたが、2025年度の入学生を最後に短期大学としての歴史に幕を閉じることが決まっています。略称は和歌山信愛です。

概観と建学の精神

本学は「ショファイユの幼きイエズス修道会」を設立母体としており、その精神に基づいた「信愛教育」を建学の理念として掲げています。この教育は、キリストの教えを根幹とし、一人ひとりの個性を尊重すること、それぞれの能力を最大限に引き出すこと、自己を確立すること、そして社会に貢献する態度を養うことを目指しています。教育カリキュラムにはカトリック精神に基づいた「信愛教育」関連科目が必修として含まれており、学内では「聖母祭」や「死者のための追悼ミサ」といった宗教的な儀式も行われるなど、カトリック系短大ならではの特色が見られます。

沿革

本学の歴史は、設立母体である「ショファイユの幼きイエズス修道会」が1884年に教育事業を開始し、信愛女学校を開設したことに源流を持ちます。その後、1947年に財団法人和歌山女子学園として和歌山女子専門学校が設置されます。短期大学の設置は1951年に認可され、和歌山女子短期大学として英語科の単科で開学しました。同年11月には幼きイエズス修道会に経営が移管されます。1953年には家政科が設置され、英語科は一旦廃止。1955年に和歌山信愛女子短期大学と改称し、1956年には保育科が設けられました。学科体制は時代と共に変化し、1969年には家政科が家政専攻と食物栄養専攻に分かれ、1990年には家政科が生活文化学科に改称されました。1994年には英語学科が再設置され、一時期は3学科体制となりますが、2001年度を最後に英語コミュニケーション学科（1998年に英語学科から名称変更）の募集を終了し、2003年に同学科は廃止されました。その後も学科の定員変更などを経て、2013年には法人名が学校法人和歌山信愛女学院に変更されています。創立70周年を迎えた2021年には記念式典が挙行されました。そして2025年 4月には男女共学化に伴い、現在の和歌山信愛短期大学へと名称が変更されると同時に、この年度をもって短期大学としての学生募集を終了することが決定しています。

教育組織と取得資格

現在の学科構成は、生活文化学科（生活文化専攻・食物栄養専攻）と保育科の2学科体制です。過去には英語コミュニケーション学科も存在しました。

各学科では、将来のキャリアに直結する資格の取得が可能です。生活文化学科食物栄養専攻では栄養士資格、保育科では保育士資格および社会福祉主事任用資格が取得できます。また、保育科では幼稚園教諭二種免許状の取得課程が設置されており、これは保育科設立当初から認定を受けています。かつては生活文化学科生活文化専攻で中学校教諭二種免許状（家庭）の課程がありましたが、現在は取得できません。

施設と学生生活

キャンパスは和歌山県和歌山市相坂に位置し、和歌山電鐵貴志川線岡崎前駅から徒歩圏内です。学内には、約44,000冊の蔵書を持つ図書館や、学生食堂「マリアンホール」をはじめとする様々な施設があります。特にカトリック系であることから、祈りの場であるチャペルも設けられています。

学生生活においては、「聖歌隊」などのクラブ活動があり、毎年秋には学園祭「信愛祭」が開催され、学生たちの交流と学びの成果発表の場となっています。

地域連携と卒業後の進路

地域社会との連携にも積極的で、文化講座や公開講座などを開催しています。また、文部科学省の事業を活用し、キャンパス内に無料の子育て支援施設「木のおうち」を開設し、育児中の親子の交流や遊びの場を提供しています。

卒業生の進路は多岐にわたります。生活文化学科生活文化専攻の卒業生は、金融機関、流通業、アパレルなど様々な分野で活躍しています。食物栄養専攻の卒業生は、その専門性を活かし、主に給食サービス業や食品関連企業などに就職する傾向があります。保育科の卒業生は、保育園や児童福祉施設で保育士として働く人が多く、和歌山信愛幼稚園などでの就職実績もあります。また、さらなる学びを深めるため、大阪教育大学、関西外国語大学、千里金蘭大学、桃山学院大学といった他大学への編入学・進学する道を選ぶ卒業生もいます。

本学は、大阪信愛学院大学や久留米信愛女学院短期大学などと共に「信愛4姉妹校」の一員として連携しています。また、設置者が同じ学校として、和歌山信愛大学、和歌山信愛中学校・高等学校、和歌山信愛幼稚園があります。

長きにわたり地域社会に貢献してきた和歌山信愛短期大学は、まもなくその歴史に終止符を打ちますが、そこで培われた「信愛教育」の精神は、卒業生を通じて今後も受け継がれていくことでしょう。

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