和歌山県営紀三井寺野球場

紀三井寺公園野球場：和歌山野球の歴史を刻む球場

和歌山県和歌山市の紀三井寺公園に位置する紀三井寺公園野球場は、県内を代表する野球場として、長年にわたりアマチュア、プロ野球の試合を開催してきた歴史ある施設です。様々な愛称で親しまれてきましたが、和歌山県と指定管理者である紀の国はまゆうは、公式名称を『紀三井寺公園野球場』としています。

歴史と変遷

1965年、それまでの県営向ノ芝球場の閉鎖に伴い完成しました。開場式では「甲子園球場並みに広い」と評されたという逸話も残るほど、当時としては非常に広大な敷地を誇っていました。完成以来、高校野球や社会人野球のアマチュア公式戦の主要会場として、県内野球界を支えてきました。

プロ野球においては、オープン戦やウエスタン・リーグ公式戦の開催実績がありますが、公式戦は南海ホークス主催の4試合（パ・リーグのみ）に限られています。セ・リーグ公式戦や、近鉄バファローズ主催試合の実績はありません。

球場は時代と共に進化を遂げてきました。1984年には内野スタンドを増設、1998年には芝生やバックネット、外野フェンスの改修を行い、2001年にはスコアボードを磁気反転式に更新。2006年には照明設備が設置され、ナイター開催が可能となりました。2011年から2012年にかけては、紀の国わかやま国体開催に向けた改修工事が行われています。そして、2020年にはスコアボードがフルカラーLED式に更新され、球速表示や投球数の表示機能も追加されました。

浜風が舞うロケーション

和歌山湾から約500mという立地から、阪神甲子園球場と同様に、右翼から左翼方向に浜風が吹くことが特徴です。紀三井寺や和歌山マリーナシティ、和歌山ビッグホエールといった観光名所にも近く、風光明媚な環境も魅力の一つと言えるでしょう。

名勝負と記録

紀三井寺公園野球場には数々のドラマが刻まれています。特に有名なのは、1979年の夏の甲子園で延長18回引き分け再試合となった、箕島高校対星稜高校の激闘です。両校のOBは、1994年に「再試合」、2004年には「再々試合」を同球場および石川県立野球場で開催しています。

照明設備設置以前はナイター開催ができなかったため、日没による再試合も複数回発生しています。1998年、2004年の夏の選手権大会では複数試合が再試合となりました。2006年の照明設備完成を記念して、和歌山県立桐蔭高校と和歌山県立向陽高校による古豪対決が開催されたほか、和歌山箕島球友会と茨城ゴールデンゴールズの試合も開催されています。

2006年には、大阪桐蔭高校の中田翔選手が場外へ飛び出す特大本塁打を放ちました。当初160mと発表された飛距離は、精密な測定の結果188.41mと訂正されました。この記録を機に、2007年には左中間と右中間付近に防球ネットが設置されました。その後、2009年には智弁和歌山高校の山本定寛選手が初めてこの防球ネットを超える本塁打を放っています。

かつては夏の選手権大会において外野席が開放されていませんでしたが、2019年からは観客の熱中症対策として、日光の照り返しが少ない外野芝生席を開放するようになりました。

独立リーグとの関わり

関西独立リーグ（初代）に所属していた紀州レンジャーズは、本拠地として紀三井寺公園野球場を使用していました。2008年から2013年までリーグに参加した後、チームは活動を停止しました。その後、2017年に設立されたBASEBLL FIRST LEAGUE（2019年より関西独立リーグ(2代目)）に加入した和歌山ファイティングバーズ（現・和歌山ウェイブス）も、紀三井寺公園野球場を舞台に試合を開催しています。

施設概要

グラウンド面積：12,477㎡
両翼：98m、中堅：120m
内野：クレー舗装、外野：天然芝
収容人員：15,000人
スコアボード：フルカラーLED式
照明設備：6基

紀三井寺公園内には、野球場以外にも陸上競技場、補助競技場兼球技場、テニスコートなどの施設が整備されています。

アクセス

JR紀勢本線紀三井寺駅より徒歩約40分、またはJR和歌山駅、南海和歌山市駅、JR海南駅から和歌山バスを利用可能です。

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