和田英一

和田 英一の概要

和田英一（わだ えいいち）は、1931年6月1日生まれの日本のコンピュータ科学者であり、東京大学の名誉教授及びIIJ技術研究所の研究顧問を務めています。特に情報科学の分野で多大な貢献を果たしており、彼の業績は多岐にわたります。

学歴と初期の業績

和田氏は私立武蔵高校を卒業後、東京大学理学部物理学科に入学し、1955年に卒業しました。在学中、彼は高橋秀俊教授の研究室でパラメトロンコンピュータの開発に従事しました。その際、彼はイニシアルオーダー「R0」のプログラムを多数開発し、コードの圧縮技術を駆使してその本体と変換テーブルを兼用するという革新的なアプローチを取りました。この業績は「日本初のハッカー作品」として評価されています。

和田氏は後に工学博士の学位を取得し、1973年から1974年にかけてマサチューセッツ工科大学で准教授として教育にあたりました。この期間に彼はサスマン博士と交流を深め、後に教科書「計算機プログラムの構造と解釈」の翻訳を手掛けることになります。この翻訳は、後のコンピュータ科学教育に大きな影響を与えました。

東京大学での活動

1964年に東京大学の助教授に就任し、1977年には教授に昇進。彼の研究室では、数理工学や情報工学の専門分野において多くの学生を指導しました。和田氏の研究成果には、近山隆らによるLISP処理系「UtiLisp」の開発や、1980年代初頭のインターネットの発展に向けた施策などがあります。特に、JUNET漢字コードに関する解説文書を作成し、日本語の電子メールでの標準化に寄与しました。

彼の研究室が知られるようになったのは、1990年頃に大学院生の田中哲朗が開発した「和田研フォント」によるもので、このフォントは基礎となるjiskan24から半自動的に生成され多くの漢字を含むものです。このフォントは、自由に利用できるという点で、特にLinux環境で広まりました。

退職後の活動

1992年に東京大学を退職した後も、和田氏は情報処理学会などを通じて日本のコンピュータ関連の学界や業界に貢献しました。また、1992年から2002年までは富士通研究所に所属し、その後はIIJ技術研究所で活動しています。その間、彼の提言「けん盤配列にも大いなる関心を」が、1995年からPFU研究所主導で開発されたHappy Hacking Keyboard（HHK）シリーズのきっかけとなりました。

趣味

和田英一氏は、鉄道に関する趣味も持つ多才な人物です。彼の幅広い興味は、学術的な活動だけでなく、個人的なライフスタイルにも反映されています。

和田氏の長いキャリアとその多岐にわたる業績から、彼は日本のコンピュータ科学における重要な影響力を持っています。彼の貢献は今なお多くの人々に影響を与え続け、後進の指導にも力を入れています。

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