品川機関区

品川機関区：知られざる東京の鉄道拠点

品川機関区は、かつて東京都港区に位置し、日本国有鉄道（国鉄）および日本貨物鉄道（JR貨物）関東支社が管轄していた車両基地でした。最盛期には、機関区本屋に日本貨物鉄道情報システム部が置かれるなど、重要な拠点としての役割も担っていました。

特徴

品川機関区に配置される車両を示す略号は「品」でした。東京機関区が東海道本線の旅客列車用電気機関車を配置していたのに対し、品川機関区では主に構内入換や小運転用の蒸気機関車とディーゼル機関車が配置されていました。国鉄時代には、品川客車区構内での客車入換や築地市場線も担当していましたが、国鉄分割民営化直前に田端運転所に移管されています。民営化後は、関東地方の貨物駅での入換業務が中心となりました。

日々の走行距離が短く、重仕業もなかったため、品川機関区には状態の良い車両が多く存在することで知られていました。山手線や東海道・横須賀線の車窓から、その姿を毎日見ることができたこともあり、鉄道ファンを中心に親しまれ、多くの写真が残されています。

主な配置車両

国鉄時代には、以下の車両が配置されていました。

2120形蒸気機関車
8620形蒸気機関車
DD13形ディーゼル機関車：無煙化推進のため、トップナンバーの1号機をはじめ多数の車両が新製配置されました。
DE10形ディーゼル機関車

JR貨物時代にも、DE10形ディーゼル機関車が配置され、入換作業などに活躍しました。

歴史

品川機関区は、1916年（大正5年）に新橋機関庫の貨物列車用機関車の運用機能を移転し、品川機関庫として開設されました。その後、関東大震災での被災や、東海道本線・山手線の貨物列車運用移管などを経て、入換および小運転に特化した機能へと変化していきました。

1916年（大正5年）：品川機関庫を開設
1923年（大正12年）：関東大震災で被災
1936年（昭和11年）：品川機関区に改称
1958年（昭和33年）：ディーゼル機関車を初めて配置
1959年（昭和34年）：構内入換の無煙化完了
1987年（昭和62年）：国鉄分割民営化によりJR貨物が継承
1998年（平成10年）：東海道新幹線品川駅建設に伴い廃止

1998年（平成10年）には、東海道新幹線品川駅の建設工事に伴う用地確保のため廃止され、その役割を終えました。配置されていた車両は新鶴見機関区川崎派出へ転出し、跡地は再開発され、現在ではその面影を見ることはできません。

品川機関区は、その短い歴史の中で、東京の鉄道輸送を支える重要な役割を果たしました。現在ではその姿を見ることはできませんが、数多くの写真や記録を通じて、その存在を知ることができます。

関連項目

日本の車両基地一覧

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