品川氏恒

品川氏恒について

品川氏恒（しながわ うじつね）は、生没年が不明な幕末期の高家旗本です。彼は高家旗本の戸田氏倚の四男として生まれ、養父には品川氏繁を持っています。通称は貞之丞とされています。また、彼の官位は従五位下、さらには侍従や式部大輔を務めていました。

彼の生涯

氏恒は弘化3年（1846年）11月1日に将軍徳川家慶に御目見を果たします。この出来事は彼の政治的な足場を固める重要な一歩となりました。続いて、嘉永3年（1850年）11月4日に養父の死去により家督を相続しました。これは氏恒にとって、新たな責任を背負うことを意味していました。その後、嘉永4年（1851年）11月20日には高家職に任命され、同時に従五位下、侍従、式部大輔の官職に叙任されました。彼の地位は高まっていったものの、慶応4年（1868年）3月に辞職をします。この辞職は、激動する時代背景の中での選択の一つであったと考えられます。

5月には朝廷に帰順し、彼の本領が安堵されると共に朝臣に列し、中大夫席に就くことになりました。こうして品川氏恒は明治の新しい時代の幕開けを迎える一方で、彼自身は隠居生活に入ったと見られています。彼の名前は、その後、明治元年11月の勤王奉答書にも「品川第二郎氏次」として署名されており、当時の政局への影響力が完全に失われたわけではなかったことを示しています。

家族と系譜

氏恒の家族についても興味深い点がいくつかあります。彼の父は戸田氏倚、母については詳細が不明です。妻も不詳ですが、子女として養子の銀次郎（氏繁の子）と1人の娘が確認されています。この養子の存在は、品川家の血筋をつなぐための重要な手段として理解できるでしょう。

氏恒の経歴は、幕末から明治時代への移行期という歴史的な背景の中で、氏恒の役割を浮き彫りにします。彼の政治的キャリアと家族構成を通じて、当時の社会的な状況や高家旗本としての責任を果たした彼の姿が見えてきます。品川氏恒は歴史の証人としての役割を果たしており、その足跡は歴史研究にとって貴重な資源となっています。

参考文献

彼に関する詳しい情報は、松田敬之の著書『〈華族爵位〉請願人名辞典』（吉川弘文館、2015年11月）を参照されています。

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