唐の高句麗出兵

唐の高句麗出兵

唐の高句麗出兵は644年から668年にかけて行われた、唐による高句麗への一連の侵攻を指します。この戦役は、唐が高句麗を攻撃する目的で行われ、結果的に朝鮮半島に新たな時代をもたらしました。

背景

高句麗は、642年に対唐強硬派の淵蓋蘇文が政権を握り、唐との関係が緊張していました。644年、唐は淵蓋蘇文の政権に対する懲罰的な侵攻を開始し、これが最初の高句麗出兵の発端となります。

第1次侵攻（644–645年）

この戦役では、唐は水軍と陸軍を使った二面作戦で高句麗に攻め入ります。張亮率いる水軍は高句麗の卑沙城を陥落させるものの、高句麗水軍との激しい戦闘の末に敗北します。陸軍は李勣を指揮官とし、優れた将軍たちが各隊を率いて高句麗に進撃。緒戦で高句麗の重要な城塞を次々に制圧しました。

しかし、安市城での攻防戦では高句麗の楊万春が徹底抗戦を続け、唐軍は堅固な城壁に苦しむことになります。最終的に過酷な冬の気象や兵糧不足を考慮し、唐は撤退を決断。高句麗はこの時点で攻撃を凌ぎました。

第2次侵攻（661年）

661年、唐は新たに高度な戦略へと転換。小規模な攻撃を繰り返すことで高句麗を疲弊させる試みを行いました。この年、唐は百済を滅ぼし、高句麗をさらに追い詰める体制を整えます。高宗と武則天の命により、新たな軍が高句麗へ侵攻しますが、淵蓋蘇文の軍に敗北し、再び撤退を余儀なくされました。

第3次侵攻（667–668年）

668年、淵蓋蘇文の死後、高句麗内部には権力争いが発生し、その隙を突く形で唐は最終的な攻撃を仕掛けます。淵男生が唐に投降したことで、唐軍は大きな利を得て高句麗の王都、平壌を攻略し、高句麗は滅亡しました。

結果と影響

唐の高句麗出兵は朝鮮半島の歴史において重要な転換点となりました。この攻撃によって三国時代が終焉を迎え、新羅が統一王朝を築くこととなります。また、唐軍による高句麗の滅亡後、唐と新羅の間で領土を巡る戦争が激化し、朝鮮半島の新たな動乱の時代が訪れることになりました。

評価

これらの出兵は、当時の中国においても重要視されており、唐の太宗は「遼東は古来中国のもの」とし、高句麗の滅亡を中国の領土拡大に繋がるものと位置づけました。そして、北朝鮮の歴史学者たちは、遺民たちが高麗を築いたことを強調し、この地域の歴史に新たな視点をもたらしています。

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