唐三彩

唐三彩（とうさんさい）

唐三彩は、中国の唐代（618年〜907年）に作られた陶器の一種で、主に副葬用として使用されました。この陶器は、鈴のように響く美しい音を持つことから多くの人々に愛されてきました。特に、その釉薬に使用された多彩な色合いや独特の製法が大きな特徴です。

概要

唐三彩は「三彩」と呼ばれる通り、クリーム色、緑、白、赤褐色、藍色、そして紫色など、さまざまな色が釉薬に用いられており、中でもクリーム・緑・白または緑・赤褐色・藍の三色の組み合わせが代表的です。これらの色は、それぞれ異なる金属成分を含んでおり、色のバリエーションを生み出しています。

この陶器は成形過程で二度の焼成が行われます。最初に白色の粘土で器の原型を作り、1000度から1100度で素焼きします。その後、冷却した陶器に各種釉薬を施し、さらに850度から950度で焼成されます。使用される釉薬には、銅（緑）、鉄（赤褐色）、マンガン（紫）、コバルト（藍）、そしてアンチモン（クリーム）が含まれ、それぞれが特異な色合いを呈示します。これらの釉薬は非常に透明度と光沢があり、用いられる技法には刷毛や筆を使ったもの、さらには浸し掛けなど様々な手法が存在します。

唐三彩には、人物、動物、器物の三つのカテゴリがあり、人物像には天子や武将、貴婦人などが含まれています。動物像には馬や羊、ライオンなどがあり、器物にはお碗や壺、皿が含まれます。これらの作品は主に埋葬用として使われ、当時の官僚たちの間で広く流通していました。『唐六典』には、葬儀における唐三彩の扱いについての詳細が記されています。

歴史

唐三彩は19世紀末、鉄道工事中に発見された唐代の墳墓から大量に出土しました。これにより、唐代の美術品が再評価され、特に「three-color glaze」という呼称で知られるようになりました。この名が後に唐三彩という呼び名へと繋がり、世界中に広まりました。

初期の唐三彩は、西暦674年の上元元年に陵墓が築かれた際に出土したとして有名です。陶器の造形からは、当時の社会や風俗が見て取れ、力強い天子の像や豊満な女性像などは、その時代の美的感覚を反映しています。長安と洛陽の周辺において盛んに生産され、特に長安では唐三彩の市場が開かれていました。

影響

唐三彩の影響は地域を越え、13世紀から15世紀にかけてシルクロードを通じて中東地域や欧州にも広がりました。また、日本の奈良三彩との関連や他の東アジア地域にもその影響が認められます。今日でも合理的な考察が進み、唐三彩は中国の陶芸の代表的存在として大変高い評価を受けています。

まとめ

唐三彩はその美しさと独特の製法により、長い歴史を持つ陶器として多くの人に親しまれています。これらは単なる装飾品ではなく、当時の社会や文化、信仰を映し出した、非常に価値のある素晴らしい作品であると言えます。

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