釉薬

釉薬

釉薬（ゆうやく）は、陶磁器や琺瑯の表面に施されるガラス質の材料を指します。釉薬は、製作段階で陶器の表面にかけることによって生成され、粘土や灰を水に懸濁させた液体が使用されます。これにより、焼成後に表面が艶やかになり、耐水性や美しさが向上します。

歴史

釉薬の歴史は非常に古く、紀元前4000年ごろには石材に施された痕跡が見られます。古代エジプトでは、フィイアンス焼きという技術で自ら釉薬のような被膜を形成する、自己型釉薬が発見されています。釉薬としての完全な施釉は、紀元前1500年ごろから中東やエジプトでアルカリ釉が使用されるようになり、中国では長石の粉末が利用されるようになりました。特に鉛釉は、紀元前100年ごろまでに広まり、古代の陶器に多く見られました。

紀元前13世紀には、エラムのチョガ・ザンビールの寺院に施釉レンガが使用されています。また、中国の開宝寺塔は、1049年に施釉レンガとして知られる例の一つです。戦国時代には、中国で鉛釉土器の製造が始まり、漢時代に向けて更に進化しました。日本では、古墳時代に須恵器に釉薬が用いられたのがその起源とされます。

仏教の伝来以降、奈良時代にかけては、大陸から異なる色調の釉薬が持ち込まれ、多様な技法が発展しました。13世紀には上絵付けの技法が普及し、様々な色を使った装飾が施されるようになりました。

陶磁器と釉薬

素焼きと呼ばれる焼成された陶器は、釉薬を施さないため表面は粗く水分を吸収しやすいです。これに対して、釉薬を施すことで表面の小孔が封じられ、耐水性が格段に向上します。また、釉薬のガラス質が光沢を与え、色や模様を作り出すこともできます。近代以降、釉薬の性能や発色のメカニズムがより明確になり、合成釉薬が一般的に使用されるようになりました。

しかし、天然釉を好む陶芸家も多くおり、微妙な色彩や偶然的な変化を求めて、手間をかけて釉薬を作成します。最近では衛生陶器メーカーも汚れが付きにくい釉薬の開発を進めています。

種類の紹介

釉薬には様々な種類があります。例えば、灰釉は草木の灰を基にした高温用の釉薬であり、透明釉は無色透明で多くの用途に使われます。緑釉は酸化銅を加えた釉薬で、低温用と高温用に分かれます。特に、錫釉は酸化スズを添加した釉薬で、装飾的な色彩を豊かに表現することができます。

琺瑯と釉薬

琺瑯も釉薬を用いた製品の一つですが、陶磁器とは異なり金属を下地に利用します。琺瑯は主に鍋や漬け物樽など実用的なアイテムに多く使われていますが、衝撃で釉が剥がれやすいため、扱いには注意が必要です。さらに、琺瑯特有の光沢を活かし、繊細な絵付けを施した製品も存在し、主に装飾品としての需給が見られます。

これらの情報からもわかるように、釉薬とその歴史は非常に広範で奥深いものであり、陶芸の技術や美術において欠かせない要素となっています。

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