唐人墓

唐人墓について

唐人墓（とうじんばか）は、沖縄県石垣市の観音崎にある重要な墓地です。この地は、1852年に起きたロバート・バウン号事件で亡くなった中国人苦力を慰霊するために、1971年に建立されました。この事件は、中国からカリフォルニアに向かう途中のアメリカの奴隷貿易船で起きました。

ロバート・バウン号事件の概要

咸豊2年（1852年）に、アメリカの貿易船「ロバート・バウン号」は、中国のアモイからカリフォルニアへ向かう途中でした。多数の中国人が乗船していたのですが、船員たちは彼らを裸にし、辮髪を切り落としました。そして、病気を持つ者たちは、売り物にならないとして海に突き落とされ、サメに襲わせました。この事態を知った中国人たちは、船員に対して反乱を起こしました。

苦力たちは船長と船員を殺害し、船を掌握します。しかし、2月19日に石垣島の崎枝村沖合で座礁し、380人の苦力が陸に上がりました。八重山の役人は彼らを無知から、崎枝村の赤崎に一時的に収容所を設け、後に富崎に移しました。

その後、離礁したバウン号に関する報告を受けたイギリスの軍艦が、3月16日に富崎の収容所を砲撃しました。その後、武装した兵士が上陸し、逃げた苦力を捕縛し、見せしめで何人かをその場で吊るしました。報告によれば、約100人が実行されたとされ、彼らを記号として扱う扱いは非常に残酷でした。さらに、4月4日にはアメリカの軍舰が来航し、約100人の兵士が島に上陸しました。

捕虜となった中国人は琉球王国に保護されたものの、収容所の衛生状態は非常に悪かったため、多くの人々が病死し、他にも自殺や行方不明者が出ました。しばらく後、172名が中国へ送還されることになったのですが、その間に128名が行方不明となりました。

唐人墓の設立

こうした悲劇を弔うために、三百唐人墓と呼ばれる古い石積みの墓が、この地域には点在していました。さらに、陶製の墓碑も八重山博物館に収蔵されています。この墓地は、単なる埋葬地であるだけでなく、歴史的な悲劇の象徴としての役割も果たしています。

一部の反論

従来の事件の説明に対し、一部の報道機関、特に八重山毎日新聞は異なる見解を示しています。彼らは、事件で実際に英米の兵士によって殺害された中国人は3人で、他の犠牲者は疫病によるものであると指摘していますを追加で提供しています。また、貿易船には中国人の労働者も含まれていたことが強調されています。

所在地とアクセス

唐人墓は沖縄県石垣市新川1625-9に所在し、訪問者は石垣バスターミナルから東運輸バス・川平リゾート線を利用し、約20分で「唐人の墓」バス停に到着できます。周辺には、フサキビーチや宮良殿内などの観光スポットも存在します。

このように、唐人墓は歴史の教訓を伝える場所として、また犠牲者たちを追悼するための貴重な遺構として、今も多くの人に認識されています。

もう一度検索