東運輸

東運輸株式会社について

東運輸株式会社は、沖縄県石垣市に本社を構え、石垣島内における主要なバス事業者として知られています。石垣バスターミナルを中心に、石垣空港へのアクセスバス、島内各地を結ぶ路線バス、そして観光客向けの貸切バスを運行し、地域住民や観光客の移動を支えています。

歴史

創業前夜

東運輸の歴史は、1930年代の石垣島におけるバス事業の黎明期に遡ります。当初は個人による貨客輸送が行われましたが、経営難により短期間で終了しました。その後、1935年に八重山自動車商会が設立され、バス運行を開始。しかし、戦時下での燃料不足により、木炭自動車や馬車による運行を余儀なくされ、1944年頃には事業を停止しました。

戦後、八重山通運社が払い下げられたトラックで運行を再開しますが、1946年に政府の管理下に入ります。1950年、ガリオア資金による自動車支給の際、戦前の事業者であった糸州長勝氏が事業を引き継ぐことになりました。

東運輸の発足

1950年 6月2日、糸州長勝氏を中心に、大浜町民の協力を得て東運輸株式会社が設立されました。資本金130万円、従業員12名でスタートし、同月24日に路線バス事業、7月5日にトラック事業の認可を受け、9月2日にバス2台、トラック2台で運行を開始しました。初期の路線は石垣 - 白保間で、その後、道路の開通とともに路線を拡大。当時のバスは通勤・通学の足としてだけでなく、生活物資の輸送も担っており、車掌が集落の買い物代行をするなど、住民生活に密着した運営が行われました。パイナップル産業の活況時には、作業員輸送のため臨時便を運行するなど、活気に満ちた時代でした。

経営危機と他社参入

1950年代後半、乗車率こそ良好でしたが、低運賃と車両購入費が経営を圧迫し、度重なる増資が必要となりました。株主の疲弊が進む中、他社の参入が表面化し、株を手放す人が続出しました。経営立て直しのため、1959年に沖縄バスから出資を受け、競争に備えましたが、八重山交通（山田バス）との間で激しい競争が勃発。山田バスは違法な貸切バス運行を行い、過当競争に陥りました。最終的に山田バスは経営破綻し、1963年に東運輸が吸収合併することとなりました。その後、沖縄バスの株式も買い戻し、経営の立て直しを図りました。

路線再編と730

モータリゼーションの進展と乗客減少により、1960年代後半から単独での維持が困難な路線の統合や廃止が進みました。1978年の730（交通方法変更）では、バスのハンドル位置や乗降口の変更など、大規模な改修が必要となり、政府の補助を受けつつ、車両の導入や改造が行われました。

年表

1950年 6月2日：東運輸株式会社設立
1950年 6月24日：路線バス事業認可
1950年 7月14日：貨物トラック事業認可
1950年 9月2日：バス・トラック営業開始
1953年 9月9日：琉球政府による事業認可に切り替え
1955年 10月3日：タクシー事業認可
1959年4月6日：貸切バス事業認可
1962年 5月31日：貨物トラック事業譲渡
1963年 1月10日：山田バスの事業を譲受
1965年 7月31日：タクシー事業譲渡
1969年 9月18日：整備工場分社
1970年 9月1日：不動産業分社
1978年 7月30日：交通方法変更に伴う車両入れ替え

事業所

本社、本社営業所（貸切バス）：沖縄県石垣市字真栄里908
石垣バスターミナル、バスターミナル営業所（路線バス）：沖縄県石垣市美崎町3

東運輸の事業所は、当初は大浜町内にありましたが、石垣市の都市計画により現在の石垣バスターミナルが建設されました。バスターミナルビルは東運輸が建設しましたが、後に経営分離され、石垣バスターミナル株式会社が設立されました。

乗車券

東運輸では、全路線で利用できるフリーパスを販売しています。

1日フリーパス：購入時より24時間利用可能。大人1,000円、小人500円
みちくさフリーパス（5日間フリーパス）：購入時より120時間利用可能。大人2,000円、小人1,000円

現行路線

2018年 12月1日現在の路線は以下の通りです。

空港線

4系統：バスターミナル - 離島ターミナル - 裁判所前 - 平得 - 沖縄県八重山合同庁舎前 - 大浜 - 磯辺 - 白保 - 石垣空港
10系統：バスターミナル - 離島ターミナル - 登野城小学校前 - アートホテル石垣島 - みんさー工芸館前 - ANAインターコンチネンタル - 沖縄県八重山合同庁舎前 - 大浜 - 磯辺 - 白保 - 石垣空港

西・東回り一周線（東側）、平野線、平野経由伊原間線

2・3系統：バスターミナル - 裁判所前 - 平得 - 沖縄県八重山合同庁舎前 - 大浜 - 磯辺 - 白保 - 石垣空港 - 盛山北 - 野原 - 玉取 - 舟越 - 伊原間
5・6系統：バスターミナル - （上記経路） - 伊原間 - 明石 - 平久保 - 平野

川原線

1系統：バスターミナル - 裁判所前 - 平得 - 沖縄県八重山合同庁舎前 - 大浜 - 磯辺 - 南川原（→川原→三和→南川原）

吉原線

7系統：バスターミナル - 登野城小学校前 - 八重山自然村 - 八重守の塔 - 名蔵 - 大嵩西入口 - (大嵩 - 吉原 - 大嵩 - 川平) - 大嵩西入口 - 名蔵 - 嵩田 - バラビドー - 登野城小学校前 - バスターミナル

川平リゾート線

9系統：バスターミナル - アートホテル石垣島 - 舟蔵の里 - 唐人の墓 - やいま村入口 - 川平 - クラブメッド

米原キャンプ場線

11系統：バスターミナル - 大浜信泉記念館前 - ANAインターコンチネンタル - みんさー工芸館前 - アートホテル石垣島 - 健康福祉センター - バラビドー - おもと - サッカーパークあかんま - 富野 - 米原ヤシ林入口 - 山原 - 吉原 - 大嵩 - 川平 - クラブメッド - 川平 - 大嵩 - 吉原 - 山原 - 米原ヤシ林入口 - 富野 - サッカーパークあかんま - 三和入口 - 盛山北 - 石垣空港

西・東回り一周線（西側）、西回り伊原間線

2・3・8系統：バスターミナル - 登野城小学校前 - 八重山自然村 - 八重守の塔 - 名蔵 - 大嵩西入口 - 川平 - 大嵩 - 吉原 - 山原 - 米原ヤシ林入口 - 富野 - 伊土名 - 栄 - 舟越 - 伊原間

八重山病院線

13系統：バスターミナル - 離島ターミナル - 新栄町 - 真喜良郵便局前 - 新川五町内 - 桃林寺前 - 大川 - 登野城五町内 - 平得 - 石垣市役所 - 八重山病院

定期観光バス

石垣島一周コースと半周コースの2コースが設定されています。

廃止路線

まちなかじゅんかんバス

2013年から2018年まで運行された市内循環バスです。

車両

バリアフリー車両

2003年に県内初の低床車両を導入し、バリアフリー化を推進しています。2015年時点では、路線バスの半数以上が低床車両となっています。

特定バス、貸切バス

特定バス事業は休止中ですが、貸切バス事業は34台の車両を保有しています。

生活路線

川原線、西回り一周線、東回り一周線、平野線、平野経由伊原間線、西回り伊原間線、吉原線は、沿線人口の減少やモータリゼーションの影響で乗客が減少しており、県と市の補助金対象路線となっています。特に、西部の吉原以北や東部の白保以北からは、市中心部への通勤・通学時間帯のバス便が少なく、不便な状況が続いています。

その他

乗降方法は前乗り前降りです。
バリアフリー車両は車椅子専用出入口を備えています。
ベビーカーは折りたたんで乗降します。
従業員は全員、大型自動車第二種免許を所持しています。

脚注

注釈

出典

参考文献

『30年のあゆみ』東運輸、1980年。

外部リンク

東運輸ホームページ

もう一度検索

東運輸